2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

人の人を思ふ、心をつけて見れば、実に人を思ふにはあらず、(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚「東海夜話」より抜き書きしました。「他のためを思って」という名目でなされる行為も、その実はエゴイズムを基礎にしているのだと喝破します。さらに、親が子を思うことと仏祖が衆生を思うことの違いを対照させて、仏恩の尊さを強調します。 一、人…

パーリ経典講義『在家を尋ねる』経,『老い』経 マハーカッサパ尊者に学ぶ出家者の生きかた(スマナサーラ長老の法話より)

2011年12月13日ゴータミー精舎パーリ経典講義 講師:アルボムッレ・スマナサーラ長老 Saṃyuttanikāyo Nidānavaggo 5. Kassapasaṃyuttaṃ 相応部経典 因縁篇 5.カッサパ相応http://www.tipitaka.org/romn/cscd/s0302m.mul4.xml 4. Kulūpakasuttaṃ 在家に入る …

君子は人をそしること、(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚「東海夜話」より抜き書き。君子たるものは人の誹謗にいちいち怒るなと説いています。誹謗を忍んで言論の自由を尊重することで、ためになる言葉(良言)が自分に達するのだと。出典から前二節も読んでいただければと思います。 一、君子は人をそしる…

浮かれない生きかた(スマナサーラ長老の法話より)

Q先日の経典解説で仰っていた「褒められると調子に乗る」以外に、日本社会のウイークポイントは何か? A別にそういうことをわざわざ調べていない。興味もない。ただ困っている人がいたら、何とかしてあげたいと思うだけ。あるかもしれないけど、そんなに私は…

パーリ経典講義『月喩経』 マハーカッサパ尊者と布施の話(スマナサーラ長老の法話より)

2011年11月29日ゴータミー精舎パーリ経典講義 講師:アルボムッレ・スマナサーラ長老 Saṃyuttanikāyo Nidānavaggo 5.Kassapasaṃyuttaṃ 3. Candūpamasuttaṃ パーリ相応部 因縁篇 5.カッサパ相応 3.月喩経 http://www.tipitaka.org/romn/cscd/s0302m.mul4.xml …

人として人のためよかれのと思ふこと、誠にかたいかな。(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚「東海夜話」からの抜き書きです。 一、人として人のためよかれと思ふこと、誠にかたいかな。凡そ生としいける者、あらそはずと云ふことなし。空をかける翅(つばさ)、地をはしる獣、螻蟻蚊虻(けら・あり・か・あぶ)にいたるまで、あらそはずと云…

横浜朝日カルチャー講義「イラッとした時の5つの処方箋」(スマナサーラ長老の法話より)

今日は「イラっとした時の五つの処方箋」というタイトルでお話しします。 これは人間関係についての教えです。人間関係のトラブルは、誰にでもあることです。ないというなら、人間じゃないと思います。動物の中では人間関係のようなトラブルはない。人間だけ…

気にいらない教えとの付き合い方(スマナサーラ長老の法話より)

Q一年前くらいに初期仏教知った。書店で見ると大乗仏教が主流で、お釈迦様が貶められているようで怒りを抱いてしまう。大乗仏教と付き合っていくにはどうしたらいいのか? A気に入らんものがいらんと思ったら、この世で生きていられない。この世は嫌いなもの…

世俗佛法をば寂にして滅絶すとおもへり、道はもと生滅なし。(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。無常偈(諸行無常・是生滅法・生滅滅已・寂滅為楽)の解説です。 一、世俗佛法をば寂にして滅絶すとおもへり、道はもと生滅なし。然るを衆生、生滅の相となりて、悟るときは則ち生滅の二つともめつして寂滅の體現前す、これをた…

大乗仏教やジャータカは「妄語」?(スマナサーラ長老の法話より)

Q大乗仏教を説いてきたのは「妄語」か? 大乗仏教といっても何ものかと誰も知らない。あまりに広大でハチャメチャな世界です。(中観派と唯識派の概要について…略。)(大乗仏教の根本的な哲学を構築した)龍樹は経典を作っていない。彼は嘘はついていないん…

親と子どものためのマインドフルネス

初期仏教の「気づき(sati)」の実践から、世界中に拡がったマインドフルネスの実践。エリーン・スネル著『親と子どものためのマインドフルネス』(サンガ)はオランダ語版で刊行され、その後世界中で翻訳されたエクササイズ集です。 親と子どものためのマイン…

宇宙の法則に身を任すとは?/教えの理解から本格的な修行へ(スマナサーラ長老の法話より)

Q:宇宙の法則に身を任すとは?どのように身を任すのか? A:宇宙といっても我々が知っているのは物質的な宇宙です。それは我々にはどうしようもなく法則で動いている。自分のものというのは自分の精神であり心です。そこは誰にも管理できない。そこは、自分で…

仏教から見た「社会的成功」とは?・他(スマナサーラ長老の法話より)

Q:一ヶ月前からDVD購入してヴィパッサナー冥想。睡眠障害に。やり方がマズイのか? A:気にすることはないと思います。眠れなくなったって別に……私はほとんど寝ない状態で生きていますから。問題なのはちょっとした変化が起きても心配しちゃうこと。あ、そ…

心に城郭を搆ふべし、心の城郭は人破りがたし。(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。紫衣事件に連座し幕府権力の弾圧を受けても屈しなかった沢庵の気概が伝わってくる一節です。 一、沙門(しやもん)の言行正しきときは、則ち権威とても恐れ無し。私を以て沙門に傷つくるときは、則ち我に恥無し、その恥は権(権…

子供は自分の研究課題/関心・無関心と「関係性」(スマナサーラ長老の言葉より)

●子供は自分の研究課題 子供が言うことを聴かない、というのは間違っていますよ。 子供は(親や大人の)1)言っていることの意味が分からないんです。それから、2)言葉が分かっても、なぜそう言われるのか、なぜ止めなければいけないのか、という理由が分…

『自分直し! 〜自分が変わればうまくいく!〜』(スマナサーラ長老の法話より)

自分を直すということは仏教以前に、生命にとって当たり前。自分を変えないといけない。タコは上手にカモフラージュする。海の中ではそうしないと生き残れない。タコが自分を変えるのです。そうでないと生きていられない。生命は敵から逃れるため、餌を取る…

人みな我飢を知りて人の飢を知らず、(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。自己中心性に囚われた状態こそ放逸(パマーダ,気づきのないこと)に他ならないと述べています。 一、人みな我飢を知りて人の飢を知らず、ゆゑに人を憐むの心なし。我飢を知りてはなんぞ人を憐まざらん。放逸の人はたゞわれを知…

「あなたの愛情が子育てをややこしくする ~ブッダに学ぶ「慈しみ」の子育て~」(スマナサーラ長老の法話より)

仏教の話は親の躾と同じ。子供がしつけられるのを嫌がると同じく、皆さんも嫌な気分になるかも。子育てに『愛情』が危ないというと嫌でしょう。子育ては愛情がなくてもできる。猿でも昆虫でも子育ては完璧にできる。人間も子孫を育てる能力が本能に組み込ま…

生死即涅槃、煩悩即菩提、迷悟不二(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。当時の禅者が陥っていた錯誤を厳しく指弾しています。我々が禅語録などを読む際の注意事項にもなっていると思います。有難いことです。 一、生死即涅槃、煩悩即菩提、迷悟不二とをしふることは、本来空寂にして生死なし、煩悩の…

古書に曰く、「記誦の学は人の師とするにたらず」と云云。(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。自戒としたい言葉ですね。 一、古書に曰く、「記誦(きしょう)の学は人の師とするにたらず」と云云。今の世名を発する者は見たることを能く覚ゆる生れつきを以て、その誦する事良馬の行くがごとく、以て人の耳を驚かす。それ難…

ブッダはお父さん(スマナサーラ長老の法話より)

宮崎市明星寺でのご法話 (招待へのお礼と日本の仏教界へのエール。「どんな宗派でも、仏教のお寺は明るい場所。子供たちはぜひ仏教系の幼稚園に入れてほしい。なぜなら仏教のお寺では宗教で洗脳することはしない。のびのびとした良い子に育ちます」という話…

貝甲更らに芳しきものにあらず、臭きを以て能とす。(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。大乗仏教の化身論を薫物と貝がらの喩えで説明した箇所です。 一、薫物(たきもの)に貝甲(かひがら)を入ること、彼の臭きをかりて芳(かぐはし)きを衣小袖にとめるなり。貝甲更らに芳しきものにあらず、臭きを以て能とす。佛…

ブッダの対話術(スマナサーラ長老の法話より)

スマナサーラ長老『ブッダはマジシャン?』(立川朝日カルチャー初期仏教入門メモ2011年10月10日) 今日はブッダの対話術を紹介します。他者の思考の自由を奪わずにプレゼンテーションするのは難しい。釈尊はそれを実践したのです。バッディヤとの対話(出典…

キンドル新刊『ブッダは真理を語る: テーラワーダ仏教の真理観とその変容 (初期仏教の本) 』

協会の電子書籍新刊、スマナサーラ長老『ブッダは真理を語る: テーラワーダ仏教の真理観とその変容 (初期仏教の本) 』発売になりました。 内容紹介 仏教徒にとって「ブッダの言葉」はそのまま真理を語る言葉である。ではなぜ、どのような理由でブッダの言葉…

人のおそろしと思ふは鬼なれど、(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。 一、人のおそろしと思ふは鬼なれど、目に見えぬと云へば名のみなり。実(げ)におそろしと云ふは只人なり、手足健(すこやか)にして、面に七穴開き、はしたなく弁舌ある人は無を有と云ひなし、天を地とも曲げ、鷺を鴉とも云ひ…

スマナサーラ長老のヴィパッサナー冥想指導より

人間は明日、幸福になるために頑張っています。いつまで頑張ったって明日は永久に明日です。結局、死ぬまで幸福になれないのです。 …… 苦があるから生きられる。痛みがあるから気をつけている。感覚に微塵でも『楽』があったなら、人類はもうとっくに滅亡し…

儒道には自然と云ひ佛法には因縁因果と云ふ(沢庵和尚の法語より)

久々に沢庵和尚の「東海夜話」より書写してみた。仏教の因縁因果の教えを分かり易く解説しているくだりです。 一、或人曰、「天地のことは物をこしらへて成すことにあらず、只自然なり、しぜんなるに依りてやすし」と云ふ。我れ此において説いて曰、「何事も…

やさしさとは?(スマナサーラ長老の言葉より)

お釈迦様さえ、覚りを開かれてから涅槃に入られるまで、決して楽な人生ではなかったのです。生きることは誰にとっても大変です。 「ブッダは無条件に私たち一切衆生に慈しみを持っていた」と言っても、周りの人々もお釈迦様に優しさを返したんです。優しさは…

人間とトラの違い、そしてブッダの獅子吼

FBの仏教アカウントから「人類と虎(の違い)。虎は自分と同じ種族を獲物にしない。」という意味の写真短文が流れてきた。 人間の愚かさを表すために、食傷するほどよく言われる教訓だ。でもこれって、なぜなんだろうか? 動物も極限に飢えれば共食いするケー…

仏教を知るキーワード【21】ブッダの生涯 ~人類の燈火~(完)

ブッダ(釈迦牟尼仏陀)は古代インドに実在した人物である。仏教の開祖として、いまも何億人という人々から慕われている。連載の終わりに、ブッダの生涯を駆け足で紹介したい。 小国の王子に生まれて およそ二千六百年前。インド亜大陸の北、ヒマラヤ南麓に…