現代仏教論

カルロ・ロヴェッリもユヴァル・ノア・ハラリも「現代の仏典」だ! 時間は存在しない/21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考/世界哲学史1古代I知恵から愛知へ 仏弟子の仏教書話7【書評】

新年一本目の動画配信です。 カルロ・ロヴェッリもユヴァル・ノア・ハラリも「現代の仏典」だ! 時間は存在しない/21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考/世界哲学史1古代I知恵から愛知へ 仏弟子の仏教書話7【書評】 カルロ・ロヴェッリ『時間は存在…

拙稿「仏教とジレンマ」がスマナサーラ長老の単行本『道徳ロボット』に収録される

昨年12月刊行の『サンガジャパン Vol.31 特集:倫理――理性と信仰』の巻頭記事「仏教における倫理とは何か?」にて、スマナサーラ長老の前座的な役回りで「仏教とジレンマ」という文章(講演文字起こしのていの書下ろし)を寄稿しました。2018年10月11日に行…

『大アジア思想活劇』電書版あとがき(近代仏教史研究ブックガイド&関連論文ガイド)

2017年4月に刊行された大アジア思想活劇――仏教が結んだ、もうひとつの近代史 Kindle版の電書版目次です。noteに載せようと思ったんだけど、こういう書誌データ盛りだくさんのものはやっぱブログですね。2008年~2017年初頭の約10年に刊行された近代仏教史研…

平成から令和へ――日本におけるテーラワーダ仏教のこれから

1989年から2019年にかけての平成時代は、アルボムッレ・スマナサーラ長老(1945- )の日本における初期仏教伝道活動の期間とほぼ一致します。長老の活動を通じて、それまで小乗という侮蔑(反面としての原始仏教本流という畏怖)対象であったテーラワーダ仏…

新元号「令和」の出典は阿含経典で(も)ある!

出典は『万葉集』だと? ふふふ…… いくら趣向を凝らして #新元号 を作っても、お釈迦様の掌からは逃れられないぞ。 沙門瞿曇捨滅兩舌。不以此言壞亂於彼。 不以彼言壞亂於此。有諍訟者能令和合。 已和合者増其歡喜。有所言説不離和合。 誠實入心所言知時。 …

【提言】仏教行事を旧暦に戻そう――東アジア仏教世界の一体感を取り戻す

(本誌パティパダーの)編集作業がたけなわの二月五日(火)に旧暦の新年、旧正月を迎えました。最近は春節と呼ばれることが多いですね。中国はじめ韓国・台湾、中華系コミュニティのある国々、日本でも沖縄などでは旧暦の新年を盛大にお祝いします。 日本を…

2018年の仏教系その他お仕事回顧:佐藤哲朗名義のあれこれ

今年の回顧ネタ締めくくりに自分名義でやった仕事をまとめます。 死と輪廻―仏教から死を見つめ直す― (別冊サンガジャパンVol.4) 作者: 宮崎哲弥,南直哉,望月海慧,藤本晃,西澤卓美,佐藤哲朗,佐藤剛裕,浦崎雅代,大井玄,一条真也,佐々井秀嶺,中村圭志,田口ラン…

馬場紀寿氏、『初期仏教 ブッダの思想を辿る』岩波新書における「布施」トンデモ語源説を撤回

去る9月13日のブログ記事にて、 naagita.hatenablog.com 馬場紀寿先生、ダーナの訳語である布施の「布」を「(衣の)布」のことだと断言してる。これ誤解じゃないのかな? と疑問を呈したTwitter書き込みを引用しました。 「布施」の件について辞書類を確認し…

インタビュー連載『ブッダの瞑想法――その実践と「気づき(sati)」の意味』完結

佼成出版社のウェブマガジン『ダーナネット』にブッダの瞑想法をテーマにしたインタビュー連載が載りました。4週連続で5回更新。誰かをインタビュー取材する仕事はけっこうやってきましたが、自分がされるのは初めてだったので、とても勉強になりました。 …

仏教の基本的概念”saṅkhāra(行)”の多義性と解釈をめぐるプラユキ・ナラテボー師との論争――というか通仏教的な定説にもとづく誤謬の指摘

プラユキ・ナラテボー師というお坊さんとTwitterで仏教の基本的概念である”saṅkhāra(行)”の解釈をめぐって論争(とまでは言えるかわかりませんが論争的なやり取り)をしました。 十二因縁の一支としてsaṅkhārā行を捉える場合はそのような説明も可能と思い…

大竹晋『大乗非仏説をこえて――大乗仏教は何のためにあるのか』国書刊行会を読んで。大乗仏教という「甘えん坊の放蕩息子」論

表題の本、献本いただき拝読しました。 大乗非仏説をこえて: 大乗仏教は何のためにあるのか 作者: 大竹晋 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2018/08/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 基本的に良著と思います。情緒に流れず、しっかりし…

『日本宗教史のキーワード――近代主義を超えて』(大谷栄一、菊地暁、永岡崇 編著)慶應義塾大学出版会に「テーラワーダ仏教」を寄稿

お仕事の報告です。 猫の新しい枕です。『日本宗教史のキーワード――近代主義を超えて』(大谷 栄一 編著、菊地 暁 編著、永岡 崇 編著)慶應義塾大学出版会「テーラワーダ仏教」を寄稿しました。読んでね!https://t.co/506CvSORzf pic.twitter.com/o3hwnSfu…

吉村均『空海に学ぶ仏教入門』ちくま新書(2017年に読んだ仏教本より)

Twitterで書き散らしていた読書メモまとめ。その4は吉村均『空海に学ぶ仏教入門』ちくま新書です。 空海に学ぶ仏教入門 (ちくま新書) 作者: 吉村均 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/10/05 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 空海の教えに…

『サンガジャパンvol.27 特集「禅」』(2017年に読んだ仏教本より)

Twitterで書き散らしてた読書メモまとめ。その2は『サンガジャパンvol.27 特集「禅」』です。 禅ー世界を魅了する修行の系譜ー(サンガジャパンVol.27) 作者: アルボムッレ・スマナサーラ,藤田一照,デイビッド・チャドウィック,David Chadwick,鈴木包一,横田…

佐々木閑×宮崎哲弥『ごまかさない仏教 仏・法・僧から問い直す』新潮選書 ~知的探求を通じて仏教への愛(pema,prema)を育む~

佐々木閑さんと宮崎哲弥さんの対談新刊『ごまかさない仏教 仏・法・僧から問い直す』(新潮社,新潮選書)を読みました。結論からいうと、たいへん読みどころの多い良書です。 ごまかさない仏教: 仏・法・僧から問い直す (新潮選書) 作者: 佐々木閑,宮崎哲弥 …

中島岳志『親鸞と日本主義』がすごい!

中島岳志『親鸞と日本主義』新潮選書 親鸞と日本主義 (新潮選書) 作者: 中島岳志 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/08/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 読了。これはすごい本だと思う。 仏教と超国家主義の関係はもっ…

『中外日報』2017/6/30号に「テーラワーダ仏教と日本(論 近代日本の宗教11)」を寄稿

宗教専門の老舗新聞『中外日報』2017/6/30号に「テーラワーダ仏教と日本(論 近代日本の宗教11)」を寄稿しました。拙著『大アジア思想活劇: 仏教が結んだ、もうひとつの近代史』Kindle版のPRをしつつ、表題テーマについて概観した文章です。掲載先からお許…

大アジア思想活劇――仏教が結んだ、もうひとつの近代史 Kindle版が出ました

このたび、拙著『大アジア思想活劇――仏教が結んだ、もうひとつの近代史』(サンガ,2008)の電子書籍版が刊行されました。版元の方針で、AmazonKindleのみの配信となっています。 明治から昭和を貫く一筋の道――近代仏教。 教談師・野口復堂、神智学協会・オ…

『60分でわかる!仏教書ガイド』に触発されて……こんな仏教書もどうでしょう?

友人の星飛雄馬さん(作家&編集者)が新刊『60分でわかる!仏教書ガイド』Kindle版,Evolving を上梓されました。 60分でわかる!仏教書ガイド 作者: 星飛雄馬 出版社/メーカー: Evolving 発売日: 2017/02/18 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (…

今年読んだ仏教書ベスト8

今年読んだ本を振り返っているうちに、2015年仏教書ランキングみたいな記事を書きたくなりました。自分でももっぱら仏教書を編集・制作しているのですが、新刊をもれなくチェックしているわけではなし、たまたまご縁で今年読んだ本のなかから何冊かピックア…

人間とトラの違い、そしてブッダの獅子吼

FBの仏教アカウントから「人類と虎(の違い)。虎は自分と同じ種族を獲物にしない。」という意味の写真短文が流れてきた。 人間の愚かさを表すために、食傷するほどよく言われる教訓だ。でもこれって、なぜなんだろうか? 動物も極限に飢えれば共食いするケー…

「主権者」は誰か? ~主権在民の現代では一人ひとりが小さな転輪王~(『日本「再仏教化」宣言!』より)

俺らの運動をルサンチマンの運動にしてはいけない。ルサンチマンの運動は最終的に自分を攻撃するようになって終わる。反動(リアクション)ではなく、能動(アクション)だ。どこまでも自分の生の肯定が先にあり、その上で必然的に排除されてしまうやつ(安…

【再掲】仏法に「秘密」なし。カルト除けにぴったりの名言(増支部経典より)

真理はいつでもオープンアクセス 2009年1月28日に掲載したエントリを再掲する。こういう基本原理は何度でも繰り返して周知させないといけないと思う。仏法に「秘密」はない。仏道(修行の道)にも秘密はない。「秘密の教え」を持ちだして人を誘う時点で、仏…

週刊仏教タイムス寄稿「不殺生は人類の根本戒律」(全文掲載)

週刊佛教タイムス(佛教タイムス社)2015年8月20日号に寄稿しました。オピニオン 戦後70年の曲り角 新安保法制を問う9「不殺生は人類の根本戒律」という記事です。佛教タイムス社から許可いただいたので、以下に全文掲載いたします。 「戦後70年の曲り角 新…

平和慰霊ネットワーク

ふと思ったのだけど、「英霊の慰霊顕彰」を旨とする靖国神社への信仰は全国に張り巡らされた護国神社のネットワークを通じて増幅・再生産されている。護国神社がいわゆる行動保守系のレイシスト極右勢力の集会などに利用されている例もあると聞く。 一方で、…

仏教マンガとしてのジョージ秋山『アシュラ』

ジョージ秋山『アシュラ』小学校の時に床屋で読んで衝撃受けて以来の再読。下巻に出てくるこの和尚さんのセリフ、原始脳(ケモノの脳)の克服を説く最近のスマナサーラ長老に通じるものがあるなぁ。 飢餓に苦しむ荒廃した中世社会を舞台に、人肉を食らいなが…

イベント情報:田崎國彦「原書でひも解くパーリ仏典の世界 慈悲とは何か」8/6, 8/20, 8/27新宿朝日カルチャー

田崎國彦先生の「原書でひも解くパーリ仏典の世界 慈悲とは何か」が新宿朝日カルチャー教室にて開講されます。8/6, 8/20, 8/27の三日間。オススメです! <a href="https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/47840240-9637-586f-a877-553e0b49af11" data-mce-href="https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/47840240-9637-586f-a877-553e0b49af11">原書でひも解くパーリ仏典の世界</a>www.asahicult…

『白木念仏』證空上人(西山国師)御法語

白木念佛(しらきねんぶつ) 自力の人は念佛を色(いろ)どるなり 或は大乗の悟りを以て色どり 或は深き領解(りやうげ)を以て色どり 或は戒を以て色どり 或は身心を調(ととな)ふるを以て色どらんと思ふなり 定散(ぢやうさん)の色どりある念佛をば仕課…

スマナサーラ長老の法話実況Togetterまとめ(2010年春~2011年半ばまで)

今年の総会の資料をまとめるために、あれこれと過去ログを掘っていたら、以前ずいぶん凝っていたTogetter(Twitterの発言をまとめて記事を作るツール)に浸ってしまった。 2010年ごろに @naagita アカウントでツダっていた(死語)スマナサーラ長老の法話ま…

togetter「"sati"の訳語「気づき」についてのやりとり」メモ

魚川(ニー仏)氏の『仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か』が話題になっているせいか、地味なテーマのわりに閲覧数が伸びているtogetterまとめがある。 &amp;amp;lt;a href="http://togetter.com/li/834686" data-mce-href="http://togetter.com/li/8…