2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

仏教を知るキーワード【09】慈悲 ~生命への慈しみこそが仏道の真髄~

慈悲喜捨の四無量心を育てて、あらゆる生命と平等・対等な心理的関係を築く 智慧と慈悲(じひ)こそ仏教の真髄と言われる。智慧の教えは輪廻からの脱出を主眼とし、慈悲の教えは「輪廻のなかで私たちはどう生きるべきか」という生命との関係論に重点が置かれ…

仏教を知るキーワード【08】修行 ~ブッダが示した具体的な仏道実践法~

さとりに至るための修行法は37項目に集約され、これを「三十七菩提分法」などと呼ぶ 仏教は「八万四千の法門」と呼ばれ、教えの範囲は膨大だが、具体的な実践法は37項目に集約される。総称して、三十七菩提分法、七科三十七道品などと呼ばれる。その項目とは…

仏教を知るキーワード【07】戒律 ~ブッダが定めた正しい生き方~

人格を育むために各自が心がけて守る戒と、僧団生活の規則である律の2種がある 戒律(かいりつ)とは「ブッダが定めた正しい生き方」の総称で、仏教で説かれる戒定慧の三学の第一である。戒律を保って生きることは、禅定(定学)と智慧(慧学)を進歩する基…

仏教を知るキーワード【06】無常・苦・無我 ~自己観察によって発見される真理~

3つの真理を体得すれば、あらゆる現象への執着がなくなり、さとりの境地に達する 無常と苦と無我は、「三相」あるいは「三法印」と言われ、存在の「ありのまま」を三つの側面から説いた教えとして知られている。しかし、無常と苦と無我はあくまで自己観察に…

仏教を知るキーワード【05】因果法則と縁起 ~ブッダが発見した存在の方程式~

無明が生じると苦も生じる。無明が滅すると苦も滅する。 仏教の「因果法則」とはブッダが発見した「存在の方程式」である。 「これがある時はこれがある。これがない時はこれもない。」「これが生じるとこれも生じる。これが滅するとこれも滅する」というシ…

仏教を知るキーワード【04】八正道 ~中道の具体的な実践方法~

8つの項目を実践することによって心のポテンシャルは増大し、ついには解脱に達する 八正道(はっしょうどう)はパーリ語から直訳すると「聖なる八支の道」となる。中道の具体的な実践法である。 1)正見:見解を完成に導く。客観的に事実を見て因果関係を理…

仏教を知るキーワード【03】中道 ~左右の中間ではなく、超越した道~

快楽によっても苦行によっても何も得られないと知ったブッダは、第三の道を説いた 中道とはブッダが菩提樹下で成道された後に、最初の説法(初転法輪)で説かれた教えである。 当時のインドには、盛大な動物供犠などを通して神々や祖霊の世界に働きかける現…

仏教を知るキーワード【02】四聖諦 ~仏教の根幹をなす4つの真理~

「生きることは苦」であるという真理を発見したブッダは、さとりへの道を示した 四聖諦(ししょうたい)は仏教の要諦を四項目で示した教説である。 1) 苦聖諦:「生きるとは何か?」と問い続けたブッダが辿り着いた最終的な答えは「生きるとは苦(ドゥッカ)…

仏教を知るキーワード【01】さとりと解脱 ~仏教徒がめざす修行の完成~

心が煩悩から解放された心解脱と煩悩が完全に断たれた慧解脱の2種類がある 「さとり」という言葉は仏教用語としてよく使われるが、いざ定義しようとすると曖昧な用語でもある。初期仏教では修行の完成は「涅槃(ねはん,ニッバーナ)」と呼ばれる。涅槃に達…

週刊仏教タイムス寄稿「不殺生は人類の根本戒律」(全文掲載)

週刊佛教タイムス(佛教タイムス社)2015年8月20日号に寄稿しました。オピニオン 戦後70年の曲り角 新安保法制を問う9「不殺生は人類の根本戒律」という記事です。佛教タイムス社から許可いただいたので、以下に全文掲載いたします。 「戦後70年の曲り角 新…

スマナサーラ長老の新刊『やめたいことは、やめられる。』河出書房新社

新刊の見本が届きました。アルボムッレ・スマナサーラ『やめたいことは、やめられる。』河出書房新社は、「やめたいけど、やめられない」という人間の葛藤をいかに解決してゆくか? 冥想という言葉すらも用いずに、仏道実践のスタート地点からゴールまでを次…

平和慰霊ネットワーク

ふと思ったのだけど、「英霊の慰霊顕彰」を旨とする靖国神社への信仰は全国に張り巡らされた護国神社のネットワークを通じて増幅・再生産されている。護国神社がいわゆる行動保守系のレイシスト極右勢力の集会などに利用されている例もあると聞く。 一方で、…

日本テーラワーダ仏教協会のKindle本が10タイトルに

たまには仕事がらみの話題で……。日本テーラワーダ仏教教会の電子書籍(Amazonkindkle)がようやく10タイトルになりました。いずれもアルボムッレ・スマナサーラ長老の法話をまとめた書籍です。 施本として刊行して在庫がなくなったもの、雑誌等に掲載した長編…

仏教マンガとしてのジョージ秋山『アシュラ』

ジョージ秋山『アシュラ』小学校の時に床屋で読んで衝撃受けて以来の再読。下巻に出てくるこの和尚さんのセリフ、原始脳(ケモノの脳)の克服を説く最近のスマナサーラ長老に通じるものがあるなぁ。 飢餓に苦しむ荒廃した中世社会を舞台に、人肉を食らいなが…

「戦後70年の安倍首相談話」と戦後民主主義の前進

昨晩、安倍晋三首相の戦後七十年談話が発表された。安倍首相の戦後70年談話全文:朝日新聞デジタルwww.asahi.com 一読して、また動画で談話全体を確認して、「それなりに練られた文章ではあるな」と思ったのは事実だ。少なくとも、スピーチライターの有能…

慈しみの随念

慈しみの随念 私は、怨みなく生きてゆこう。怒りなく生きてゆこう。悩みなく生きてゆこう。心から楽しく生きてゆこう。 ――こう私が願うように、私の親しい人々・生命も、身近にいる人々・生命も、怨みなく生きてほしい。怒りなく生きてほしい。悩みなく生き…

Mettasuttaṃ 慈経(Suttanipāta 143-152)※パーリ/和訳交互読誦のため改訳私案

Mettasuttaṃ 慈経(Suttanipāta 143-152) 1.Karaṇīyam atthakusalena, yantaṃ santaṃ padaṃ abhisamecca; Sakko ujū ca sūjū ca, suvaco cassa mudu anatimānī. 幸福を目指す人には、静かな場所で為すべきことがあります。 何事にも巧みで、正直で、善にま…

野火/ルック・オブ・サイレンス

最近観た映画のことなど。 映画「野火 Fires on the Plain」公式サイト 塚本晋也監督作品nobi-movie.com 横浜ジャック&ベティで塚本晋也監督『野火』を観た。思い出すたびに目の奥の方でジワっと滲む「やめてくれ」と叫びたくなる涙と、飲み込みきれないま…

『あの戦争と日本人』その他

戦争にまつわる本のこと、備忘録的に。 あの戦争と日本人 作者: 半藤一利 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/04/04 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 『あの戦争と日本人』 [Kindle版]半藤一利 昭和天皇は最後の最後まで、陸軍の呼号す…