パユットー師『自己開発』

アジア文庫に注文していたパユットー師『自己開発 上座部仏教の心髄』(野中耕一 編訳)が届いた。

こちらは『仏法 自然の法則と生きることの価値』とは違って二つの講演小冊子を集めたコンパクトな本だが、内容の高度さには驚かされる。パユットー師の「開発」思想は、仏教の「実践・修習(bhaavanaa バーワナー)」そのものから汲み上げられている。それまでタイ社会の文脈では矮小化されがちだった「実践・修習」の意味範囲を仏典に即して定義しなおし、動的で活力に満ちた自他向上の方法論としてリニューアルしたものだ。師の教えは「エンゲージド・ブッディズム」が叫ばれつつ、いまひとつ理論的裏打ちをはっきり出来ずにいる日本の心ある大乗仏教徒たちにとっても、大きな刺激となるだろう。

自己開発 上座部佛教の心髄 (NGOと開発シリーズ 6)
プラタマ・ピドック(パユットー師)著 野中耕一訳

2004年8月刊 B6判 152頁 タイ東京堂書店 (5%)税込:\630(本体:\600)

80年代以降、タイ農村では、仏法が指導原理となって、農民が開発問題に取り組む姿が見られるようになった。本書はこうした問題に積極的に関わっている僧侶の一人、パュットー師の講演記録。「仏法の心髄」(2001年)と「自己開発」(1987年)が収められている。

【目次】
第一部 仏教の心髄 プラクマ・ピドック
 はじめに
 第一章 仏教の要諦
 第二章 仏教の心髄
 第三章 生き方のための法の原理
第二部 自己開発 プララーチャー・ウオーラム
 はじめに
 物の開発から心の開発へ
 開発(パッタナー)とは何か、その語源、関連語を探る
 自己開発の方法
 自己開発の基本
編訳者 あとがき

アジア文庫の注文ページへ

ちなみに、『仏法 自然の法則と生きることの価値』も、アジア文庫と山喜房佛書林に在庫があるそうだ。頒価は3000円(税別)とのこと。

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〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜