大幡ヶ谷

6日、お参りに行った氷川神社で『幡ヶ谷郷土史』編・堀切森之助(昭和53年 幡ヶ谷を語る会)という200ページほどの冊子を買った。図版や写真はほとんどないが、該博な知識と土地の記憶への敬虔さに裏打ちされた格調高い文章がそれを補ってあまりある。同書によれば、本来の幡ヶ谷とは現在の「渋谷区幡ヶ谷」エリアよりずっと広い。

……渋谷区本町一、二、三、四、五、六丁目。幡ヶ谷一、二、三丁目。笹塚一、二、三丁目に亘る地域で、昭和三十五年五月一日、地番整理の施行させるされる前までは幡ヶ谷本町一丁目、同二丁目、同三丁目、幡ヶ谷原町、同笹塚町、同中町と、総ての町が幡ヶ谷何町と幡ヶ谷を冠して呼ばれてゐた所である。

幡ヶ谷の鎮守である氷川神社や荘厳寺(幡ヶ谷不動尊)がどうして「渋谷区本町」にあるのか不思議だったが、なるほど、本町は本町でも「幡ヶ谷本町」だったわけね。やはり地域の記憶をとどめる地名は安易にいじってはいけないと思う。あまり記録が残っていないなか、古老への聞き書きによって復元された幡ヶ谷の地域史はとりたててドラマがあるわけではないが、心に染みてきた。氷川神社にて購入できる(1000円)ので、本読む人はぜひどうぞ。

〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜