山折哲雄氏の本

名前は当然知ってるけどあまり本気で読んだことなかった山折哲雄氏の本をここんとこ乱読中。正直、いまいちピンと来ない作品が多いのだが、たくさん読むと、氏独特の問題意識といえそうな記述が飛び飛びに浮かんでくる。それを掬い上げるのは楽しい作業だ。

学問の反乱―漂泊の旅の如く

学問の反乱―漂泊の旅の如く

近代日本人の宗教意識

近代日本人の宗教意識

上の2冊は、読み応えのある作品だった。『学問の反乱』(佼成出版)は自伝的エッセイ集だが、「印哲出身」の心持ちというのか(比べるのも畏れ多いけど)、うんうん、分かるよなぁ、とゆーところがけっこうあった。『近代日本人の宗教意識』(岩波書店)はかなり本気汁出してる著作で、ツボにはまった。II.やせほそった「仏陀」、III-3.「宗教的対話」と「宗教的共存」 あたりの論考は『大アジア思想活劇』の調べものをしつつ僕がたどり着いた批評的な観方とけっこう重なっているように思えた。ただし、次の一歩は「僕はそっちは行かないかな」という方位を向いているんだけど。近代日本のインド学仏教学は「一つの政治学または一つの詩学という軌道の上を走ることになった」(『近代日本人の宗教意識』152p)存在であること、その条件付けを自明のものとして、疑おうという発想すらない「学者」も少なくない。さすが山折氏の「人物」たる由縁を垣間見えてちょっとホッとした。

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〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜