最近読んだ本

アジア主義を問いなおす (ちくま新書)

アジア主義を問いなおす (ちくま新書)

1930年代の日本外交を題材に「アジア主義」は「反米」では成り立たなかった、とゆー意外な事実を明らかにする。でもって現在の日本外交の方向性も示唆してみせる。これはなかなか面白い。おすすめ。近代の仏教は「環太平洋」というスケールで展開していた。だからアジア主義にも国家主義にもコスモポリタニズムにも丈が合わなかったんだけど。拙著『大アジア思想活劇』もタイトルから誤解されるかも知んないけど、環太平洋というスケールで近代史を扱った本です。
原理主義から世界の動きが見える (PHP新書)

原理主義から世界の動きが見える (PHP新書)

同志社大の一神教学際研究センターの宣伝兼ねた新書ってとこかな。「多神教」対「一神教」という図式が実はすごーく日本人の言説空間に規定された物差しなんだよ、というのはなるほど納得できる。三人三様の切り口は面白い。僻み根性?が強すぎて単著では読む気が起らなかった中田考の文章も原理主義を巡る言説の「枠組み批判」としては頷けるところはあるな。「第五章 ユダヤ教と原理主義 シオニズムの源流を求めて」を書いた手島勲矢(てしまいざや)は名前からしてボーンクリスチャンだけど、NHKワシントン支局長やってた手島龍一と関係あるんかな?「預言の終焉と聖典の成立 ユダヤ教における原理の誕生」(p245)あたりの記述はたいへんスリリングで、一番面白くてためになった。
反西洋思想 (新潮新書)

反西洋思想 (新潮新書)

内容の妥当性はともかく、21世紀になっても、西欧知識人の言説のなかではいまだに「マニ教」「マニ教的」というレッテルがそれなりの重みを持っているらしいことが興味深い。本書にもネガティブな用法で頻出する。しかし、どう考えてもマニ教マニ教的な思想よりは、それを滅ぼした側の教えの方が粗野で凶暴だったというのは歴史的な事実なんだが。マニ教的な善悪二元論は信者の生き方を道徳的に規定する。だから「信」さえあれば不信心者にどんな残虐行為を行おうとも言祝がれるご立派な宗教からの攻撃には耐え切れなかった。マニ教そのものに折衷宗教的な弱みがあったことも否めないが、「道徳が信仰に敗北した」というのが、ヨーロッパから中東にかけてのマニ教滅亡の歴史だと、大雑把に僕は捉えている。ふだんは手に取らない類の本だけど、ハウツー本好きのYさんに薦められた。辣腕選挙コンサルタントによる組織マネジメント術。人間を過去型・現在型・未来型に分類していろいろ分析してる。チェックシートによれば僕はかなり「過去型」っぽかったな。著者は2004年のスリランカ国会総選挙にも関与し、日本で有名なジャヤワルデナも所属したキリスト教系金持ち政党から、現大統領派の仏教系民族派政党への政権交代に貢献したそうだ。前政権(隠れキリスト教徒とのうわさがもっぱらだった前首相派)はLTTEと内通してるとか、暗殺私兵集団を養ってるとかダーティなイメージが強かったけど、現大統領にかわってからはLTTEもかなり封じ込まれているのでスリランカ国民にとってはたいへんよかったんじゃないかと思います。それにしても、彼女にスリランカの選挙コンサルを頼んだスリランカ人僧侶って誰だろうか。
さんさん録 (1) (ACTION COMICS) さんさん録 (2) (ACTION COMICS)
5分以上会話(仕事がらみの話を除く)が続く人と続かない人とのバロメーターになる。

〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜