R30の戦場だった硫黄島
- 作者: 津本陽
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/10/25
- メディア: 単行本
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2006-09-01にメモを書いた『名をこそ惜しめ 硫黄島 魂の記録』(津本陽)の書評をレビュージャパンに投稿。
ひじる?オンライン書評館<老兵たることへの想像力>
いま僕は30代だ。
自衛隊入隊の年齢制限は27歳だったか。その歳を過ぎてから、自分は間違っても戦争を肯定したり贊美したりするような言辞は吐くまいと決めた。
自分は安全地帯にいて、他人の命をおもちゃにして、愛国心だの何だの自分のくだらないイデオロギー的な情念を満足させるほどの悪趣味は、他に見つからないと今も思う。
30代の自分が戦場に立つという事は、硫黄島のような戦場に立つことである。腐臭ただよう穴倉で人間の尊厳を捨て、餓鬼のように過ごすということである。
R30世代は、そのことへの想像力を忘れてはならないと思う。