中央公論3月号新書大賞ベスト30

午前中rjミーティング。午後はしばらく休んで、18:30より新宿住友ビルにてスマナサーラ長老の朝日カルチャーセンター講義にPC助手で参加。『仏教が目指す「理想の境地」〜究極の「やすらぎ」を求めて〜』第3回「有名だけど解りにくい仏教用語 トップ3(「悟り」・「解脱」・「涅槃」)」。日本語の「悟り」に対応するパーリ語は強いて挙げるならばadhigamaではないか、云々というお話。一部の部派仏教や大乗仏教で起きた覚りをめぐる混乱(阿羅漢退論など)は、智慧による煩悩の滅尽という覚りの定義を忘れて勝手な議論を行ったところで発生した逸脱である、というのは非常に納得のゆく見解だった。アビダンマとはとどのつまり言葉の定義集であるとも。スリランカの国会議員だという派手な服装の御仁が見学に来ていた。


星飛雄馬さんからの情報。『中央公論』2008年3月号特集「新書大賞ベスト30」内の座談会「新たなる『黄金時代』の予感」(永江朗宮崎哲弥渡邊十絲子 pp124-136)にて宮崎哲弥氏がスマナサーラ長老の『般若心経は間違い?』を2007年の新書ベスト3に挙げて絶賛していた。曰く、

 これは凄い本です。般若心経本ってやたら売れているんだけど、あれ、最後は呪文で終わる、いい加減なお経なんですよ。その矛盾点を上座部の立場から仮借なくなく剔出(てきしゅつ)した本です。(中略)日本の仏教界はものわかりがいいばかりですが、スマナサーラさんを倣って徹底的な宗論をやるべきでしょう。

般若心経は間違い? (宝島社新書)

般若心経は間違い? (宝島社新書)

宮崎哲弥氏がここまで『般若心経は間違い?』を買っているとは思わなかった。中央公論ほとんど読む所はないが、この座談会だけはけっこうおもしろかった。いま新書本の読者は50代以上がメインなのだってさ。同誌のベスト30中、唯一読んでいたのは……

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

岡田斗司夫『「世界征服」は可能か?』(ちくまプリマー新書 61)

また、宮崎らの対談で話題に上がった本ではやはり一冊だけ。

甲骨文字の読み方 (講談社現代新書)

甲骨文字の読み方 (講談社現代新書)

落合淳思『甲骨文字の読み方』 (講談社現代新書)

2007年新書ベストセラー10位までの作品も一冊だけ。

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

早坂隆『世界の日本人ジョーク集』 (中公新書ラクレ)

三冊ともレビューはしなかったが、そこそこ面白かった気がするな。

ブッダの幸福論 (ちくまプリマー新書)

ブッダの幸福論 (ちくまプリマー新書)

スマナサーラ長老の最新刊『ブッダの幸福論』も新書本だ。『ブッダ――大人になる道』に続く、ちくまプリマー新書2作目で、同新書創刊3周年記念の3タイトルに選ばれての登場。「若い人たちに、生きるということの基本的な考え方を教えてあげなければ」という長老の言葉から始まった企画である。「生命との関係」という視点から「生き方」の原則を学ぶ第1章。幸福に生きるための具体論として五戒と四摂事(布施・利他・愛語・平等)、慈悲喜捨のこころの育て方を学ぶ2,3章。死と輪廻についてまで踏み込んで「生きることを乗り越える」ブッダの出世間の道へと読者をいざなう4章とあとがき。「生きる意味」を探し求める無知の顛倒を破り、楽しく充実した「有意義な生き方」のための具体的な処方箋を示しながらもそれに留まらず、「生そのもの」への健全な疑問を提起し、「出世間」の覚りの智慧に向かうアクセスポイントも用意する、という巧みな構成。まさにスマナサーラ長老にしか書けない、仏教的「幸福論」の決定版だ。


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