読書の備忘録

マンガ仏教入門 (だいわ文庫)

マンガ仏教入門 (だいわ文庫)

原著は『佛陀説』とゆー台湾のマンガ。玄侑宗久さんがちょこちょこコメント入れてるけど、漢訳「雑阿含経」を絵解きした内容なので「仏教入門」とゆーよりはそのまんま一冊初期経典の本。剛毅な訳文もあいまって、内容はシンプルながらものすごく深いです。やっぱ中華圏の知識人は漢訳仏典を通じて宗派を問わず仏教を自分のもの(自国文化)にしているのね。こりゃ敵わんと思いました。ただ解釈は若干老荘的とゆーか、輪廻については心理主義的な解釈でさらっと触れてるだけ。伸びやかな画風と文字の多さから、願わくば著者の他の本(『老子』『荘子』『論語』『史記』なんかもマンガにしてる)と同じように大判(せめてB6かA5判)で出して欲しいなぁと思いました。

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

早大探検部の先輩作家、船戸与一と取材旅行に行ったミャンマー。「ジャーナリスト・ビザ」で旅行する船戸与一に目を光らすちょっと間抜けな政府情報機関の連中と天然ボケ炸裂の船戸御大らが繰り広げる珍道中をミャンマー近現代史や裏社会事情を交えて描いた紀行小説。紋切型の報道で内情がいまいちわからんちのミャンマー軍事政権の内情を「徳川幕藩体制」になぞらえて説明してるのですが、これが大変わかりやすく、ユーモアのなかに鋭い洞察が光らせて、「鎖国」ミャンマーの滑稽とともに、逆説的な美徳と可能性をも紹介している。「鎖国を続けているミャンマー人が見事に国際人センスを身につけているのはなぜか?」といった考察には目からうろこが落ちました。著者は仏教についてはあまり関心ないみたいだけど、テーラワーダ仏教圏の社会分析という意味では、仏教好きも必読でしょうね。高野秀行さん、他の本も読んでみたくなった。