心に城郭を搆ふべし、心の城郭は人破りがたし。(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。紫衣事件連座し幕府権力の弾圧を受けても屈しなかった沢庵の気概が伝わってくる一節です。

一、沙門(しやもん)の言行正しきときは、則ち権威とても恐れ無し。私を以て沙門に傷つくるときは、則ち我に恥無し、その恥は権(権力者)に在り、その罪も権にあり。死するは人の常なり、恐るゝに足らず、横難むかしよりなきに非ず、心に城郭を搆(かま)ふべし、心の城郭は人破りがたし。石をつみ、池を掘り、水を貯はへ、専らこれを以て敵を防がんと欲す。敵もまた謀ごとなきにあらず、石を崩し、地を割き、水を落すときは、則(すなわち)城郭は平野となる也。恩恵一を施し、国土を撫育するときは、則ち誰ありてか吾に敵をなさん、是(これ)心の城郭なり。(巻之二)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション - 禅門法語全集 : 詳註邦文. 第1巻

不動智神妙録 (現代人の古典シリーズ 7)

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沢庵禅師逸話選

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日本の禅語録〈第13巻〉沢庵 (1978年)
 

 

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