宋文洲さん

本と言ってもウェブでも読めるメルマガだけど。

以前日経BPのサイトで時評を読んで妙味を持ち、バックナンバーも読み漁っていた。
メルマガもずっと愛読している。最新号の「高く買って安く売る人達の欲」の言葉は辛辣だ。

(前略)
不思議なことに損を気にしない人のほうが儲かるのです。不思議なことに株価の変動に一喜一憂する人は儲かりません。不思議なことに欲を抑えられない人は儲からないのです。

しかし、人々はよく誤解するのです。儲かる人はきっと欲の強い人だと。儲からない自分はきっと無欲だと。
(中略)

人間社会には欲がなくなりません。無法の欲が社会を蝕みますが、法とモラルの抑制が効いた欲は、むしろ文明の原動力となります。しかし、無欲を装って欲を飾る風潮は、決して社会をよくすると思えないのです。

無欲を装って欲を飾る風潮」というのは、人間の「自分騙し」心理そのものではないか。詳しくはスマナサーラ長老の『ありのままの自分―アイデンティティの常識を超える』を読んで欲しい。

ありのままの自分―アイデンティティの常識を超える (お釈迦さまが教えたこと)

ありのままの自分―アイデンティティの常識を超える (お釈迦さまが教えたこと)

その一号前の、「停滞が確実に起きる時」に曰く、

財政赤字、少子化、東京への一極集中。社会の停滞を招く構造問題にはすべての人が関わっているのに「まじめに働いている」ことにあぐらをかき、問題の深刻化に加担しているのです。

「まじめに働いている」ことにあぐらをかき……というのは、スマナサーラ長老も常々仰られていることだ。日本人の美徳は「勤勉」だと言われてきたが、その勤勉さを精神のなまけの口実にすることで、社会基盤そのものを破壊するような「思考の停滞」を引き起こしているという。

この無駄の原因は勤勉さの欠如ではなく思考の停滞です。思考の停滞こそ、変化への対応力を弱め、改革の勇気を削り、働いても報われない現象をもたらします。

宋文洲の傍目八目 (NB Online book)

宋文洲の傍目八目 (NB Online book)

愛読してた日経BPサイトの連載をまとめた単行本。コメント欄はけっこう荒れてたけど、ひるまない姿勢がよかった。

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