オバマ大統領の妹は仏教徒?

前のエントリで紹介したアメリカの宗教系サイトbeliefnetでの、オバマ「仏教パッシング」に関する記事。コメント欄が面白い。

21世紀 仏教への旅 日本・アメリカ編

21世紀 仏教への旅 日本・アメリカ編

No-ism
January 29, 2009 8:11 PM
Tumarion,

You said: "The Hindu view of the Buddha as an incarnation of Vishnu is at best a back-handed compliment. Vishnu is said to have incarnated as Gautama Buddha to spread false doctrine in order to confound demons."

Hindus don't have a concept of false doctrine. There are multiple paths to the truth. The Vaishnavas included Buddha as one among their 10 avatars, because he is genuinely believed to be a great soul. The Buddha's teachings are in perfect harmony with most Hindu traditions.

You are right that Obama's sister consider's herself Buddhist and so Obama is very aware of Buddhist practices to know that calling the Buddha's teachings a religion is a misnomer. For that matter, calling the Hindu traditions a religion is also a misnomer, but perhaps he included it as a gesture towards some of his Hindu fund-raisers!

要旨は以下のような感じだろうか?

あなた、「ヒンドゥー教徒のブッダ観は“ヴィシュヌの化身”としての意地悪な讃辞でしかない。ヴィシュヌは悪霊(無神論者)を混乱させる目的で虚偽の教義を広げるためにゴータマ・ブッダとして受肉したと謂われている。」とか言っていますね。

ヒンドゥー教には、虚偽の教義なんてゆー概念はありまっせん。真理に至るには多様な道があるんです。 (ヒンドゥー教徒の間で)ブッダが大偉人であるとマジに信じられているので、ヴィシュヌ派では10のヴュシュヌ神の化身の一人に含めているんです。 ブッダの教えはヒンドゥー教の伝統とほとんど完璧に調和しているんです。

そうです、オバマの妹は自分を仏教徒と見なしていますし、オバマも仏教の教義からすると「ブッダの教え」を(排他的な教義を持つ)「宗教」と呼ぶのは相応しくないと、よく知っているんです。さらに言うと、ヒンドゥー教の伝統を「宗教」と呼ぶのも間違ってますけど、恐らくいくつかのヒンドゥー教徒(の支援者)向け資金集めパーティをにらんだ宣伝として入れたんでしょうYO!

ヒンドゥー教と仏教―比較宗教の視点から

ヒンドゥー教と仏教―比較宗教の視点から

まぁ、典型的なヒンドゥー教徒から見た仏教観(それはヒンドゥー化した日本大乗仏教徒の仏教観とも親和性が高いんだが)だ。こーゆー何でも一緒にするヒンドゥー脳に取り込まれて、仏教はインドで溶けちゃったんだよな。しかし、オバマ氏の妹が仏教徒というのは興味深い話だ。

あ、スリランカの新聞(The Sundaytimes Onlene)にオバマ氏の妹、Maya Soetoro-Ngさんのインタビュー記事(NYTからの配信記事)が出てる。彼女はオバマ氏より9歳年下で、父親が違う(インドネシア人)。

マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝

マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝

Maya Soetoro-Ngさんによれば、二人の母親は、atheist(無神論者)と言うよりはむしろ、人類の精神的伝統をひとしく尊重する立場を貫くagnostic(不可知論者)であったという。二人はコーランの詠唱が聞こえてくる環境のなかで、文化人類学の博士号を持つ母親から、聖書・仏教経典・道徳経(老子)などの聖典を与えられて育ったのである。

Maya Soetoro-Ngさんは、自身の信仰について訊かれて曰く、

What religion are you?


Philosophically, I would say that I am Buddhist.

あなたの宗教は何ですか?


哲学的に、「私は仏教徒です」と言えるでしょう。

こういう答え方って、non-believersとしての仏教徒、とゆーニュアンスに近いのだろうか?


オバマ兄妹の母アン・ダナムについては、以下のブログ記事に詳しい。

またまた追記するが、東京財団現代アメリカ研究プロジェクトのニュースレター

で、オバマ就任演説における「仏教パッシング」の文脈について詳細な解説が載っている。

オバマのアメリカ―大統領選挙と超大国のゆくえ (幻冬舎新書)

オバマのアメリカ―大統領選挙と超大国のゆくえ (幻冬舎新書)

【オバマ演説の隠れた凄さ―新たな宗教文化の意識】
さて、就任演説の隠れた注目点はオバマのアメリカの多様性とリンクさせた新しい宗教観だった。他の注目ポイントの間に隠れて、あまり大きく話題とはならなかったが以下のくだりの意義は大きい。

「我々の継ぎ接ぎ細工の遺産は、強さであり弱さではない。我々は、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒ヒンズー教徒、そして、そうした神を信じない人による国家だ。我々は、あらゆる言語や文化で形作られ、地球の各地から集まってきている。For we know that our patchwork heritage is a strength, not a weakness. We are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus - and non-believers. We are shaped by every language and culture, drawn from every end of this Earth」

USA TODAYのキャシー・リン・グロスマンが指摘しているように(1/20/2009)、アメリカ大統領が就任演説のような公共性の高い場で、non-believersに明示的に言及したのは、初めてのことだ。ピューリタンが建国したキリスト教中心の伝統を持つアメリカでは「市民宗教」という概念で、聖書による宣誓も神への言及も自然なものとして受け止められてきた。しかし、信心深い人々とは別に存在する世俗性の高い人々は、大統領の公的な発言の次元内では、存在するが存在していないような存在、として扱われてきたことも事実だった。

オバマのnon-believersへの言及は、世俗性も含めた上でのアメリカの宗教観の多様性を「公」に認める発言である。アフリカ系には信心深い人たちが多いこともあってか、報道ベースでは広まらなかったのだが、西海岸やマンハッタン、シカゴなどの世俗派の政治関係者の知人からの筆者への「反応」は早かった。「世俗派を認めてくれた。すべてのアメリカ人がボーンアゲイン福音派ではない。しかも就任演説で語った。この人は本当にすごい大統領だ。涙が出た。また歴史を作った」という好反応ばかりだった。
もちろん、これに付随して各宗教から「どうしてうちの宗教を入れてくれなかったのか」という疑問も当然あるだろう。仏教が入っていないことへの指摘もある。しかし、これについては二つの点を考慮すべきだろう。一つは、これは宗教人口統計学に基づく演説ではないことである。必ずしも、アメリカの宗教別人口比率に沿って均等に発言することは目的ではない。よりシンボリックなメッセージとしての意義なり力点がある。

見えないアメリカ (講談社現代新書)

見えないアメリカ (講談社現代新書)

【「神を信じない人も」―多様性のアメリカの強さ】
第二に、non-believersをどう理解するかだ。前出シンクタンク研究員は「英語でこの文脈でいうnon-believersというのは、ユダヤ、キリスト、イスラム的な<ゴッド>を信仰しない人という意味であり、何にも信仰をまったく持たない無宗教者という意味ではない。不可知論者でもなければ、神学としての無神論者とも少し違う」と語るが、これは筆者も同感だ。従って(ユダヤ・キリスト的な)「神を信じない人」という訳が、意味的には妥当だと考える。しかし、読者にわかりやすいように「無神論者」と訳すことも、報道においては決して誤訳ではないだろう。ただ、「無宗教者」とすれば意味的には誤訳の範囲に入ってくるかもしれない。仏教徒は、ある意味では「神を信じない人」に入るからだ。「キリスト教的な神」を信仰しない宗教信仰者だ。

このように、本問題で気をつけておきたいのは、狭い意味での「神」を信じることを「宗教行為」だと分類するとすれば、仏教をそうした狭い意味での「宗教」と捉えない見方もアメリカにはあり、そのために無意識のうちに些細な誤解が相互に生まれることだ。仏教が入ってないことが「軽視」ではないことを理解するには、二段構えの解釈が求められよう。実際「ニューエイジ」の延長として、キリスト教的世界観とは違う生き様を「哲学」として求め、その一環として仏教に真摯に興味を持つアメリカ人は少なくなく(ヨガやベジタリアンのようなものに興味を持つことも広い意味では同じ系譜にある)、日本での葬儀から何から習慣に根付く仏教観とは「入り口」で異なる部分もある。

仏教が明示されなかったことの問題提起は大いに共有できるものの、キリスト教社会としての建前があるアメリカで、オバマが「神を信じない人(別の何かの信仰、哲学、無信仰を実践している人)」としてのnon-believersに、就任演説という最も公式の場で明示的に言及したことはきわめて画期的であり、筆者はむしろここに注目することで、オバマ演説を大いに評価したい。アメリカの政治と宗教において興味深い、そしてオバマのような多様性そのものを体現する大統領にこそ可能だった一里塚といえる。

現代アメリカ選挙の集票過程 アウトリーチ戦略と政治意識の変容

現代アメリカ選挙の集票過程 アウトリーチ戦略と政治意識の変容

太字は引用者。なるほど、かなり納得した。やはり専門家は大したものだ。
渡辺将人氏の本、読んでみることにする。

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アメリカ下院の仏教徒議員(オバマ就任演説における「仏教スルー」を嘆く)

辛口の政治評論家でさえ感嘆した。オバマ大統領が就任式で見せた、「宗教と政治」の料理の仕方はあまりにも鮮やかだった。

という書き出しで始まる石紀美子氏の記事、オバマの見事な宗教対策  JBpress(日本ビジネスプレス)が面白い。記事のポイントは、

 1月18日の記念イベントから20日の大統領就任式まで、以下の3人の宗教家が公式に祈りを捧げた。

リック・ウォーレン牧師(キリスト教福音派
ジーン・ロビンソン主教(米国聖公会
ジョセフ・ローリー牧師(統一メソジスト教会)

 非常に乱暴なくくり方をすると「極右」と「ゲイ」と「黒人」の宗教家が祈祷に選ばれたことになる。特にウォーレン牧師とロビンソン主教の人選は賛否両論で、大きな論争を巻き起こした。

この人選の妙についての解説にあるのだが、3ページ目において、オバマが就任式演説で仕掛けたサプライズ(アメリカ人にとっては)が明かされる。

 そして極めつけは、オバマ大統領自身の就任演説だった。彼は「この国は、クリスチャンとイスラム教徒、ユダヤ教徒ヒンズー教徒、そして無信仰の人たちで成り立っています」と述べた。

 これは米国人にとって、画期的な一文だった。これまで米国のリーダーが無信仰の人たちの存在を公に認めたことはなかった。無信仰の人たちは、無政府主義者や共産主義者と同様、危険で唾棄すべき存在とされてきた。この一文は、いかなる宗教も持たず、信じず、そのため社会から阻害されてきた人々から、賞賛と喝采の嵐を浴びることになった。

この演説、初めて聞いたときにも感じたのだが、やはりどうしてもモヤモヤした気持ちが残る。

「この国は、クリスチャンとイスラム教徒、ユダヤ教徒ヒンズー教徒、そして無信仰の人たちで成り立っています」

え?それだけ?


仏教徒は?


どうして、仏教徒だけスルーなの?


仏教なんか、アメリカでは取るに足らない存在だから?

21世紀に入り、アメリカ合衆国の仏教徒は、全人口(約2億8千万人)の2%近く(400-500万人)であると推定され、アメリカ社会の中に確実に根をおろしはじたといわれている。*1

というのに?

アメリカ連邦議会の下院には、現在、二人の仏教徒議員がいる。


メイジー・ヒロノ(Mazie Keiko Hirono)ハワイ選出。


ハンク・ジョンソン(Henry "Hank" Johnson, Jr. )ジョージア州選出。

Johnson was elected to the U.S. House in the November 7, 2006 general election. Johnson is―along with Mazie Hirono of Hawaii, also elected to Congress in 2006―one of the first two Buddhists in American history to serve in the United States Congress.

ともに2006年末の連邦議会選挙で初当選。アメリカ連邦議会史上初の、仏教徒議員となったのである。ヒロノ議員は福島出身で母親とともにハワイに移住。アメリカに帰化後も浄土真宗の信仰を保ち続けた。*2ジョンソン議員はSGI創価学会インターナショナルの会員である。

彼らはどんな思いで、オバマ大統領の演説を聞いただろうか……。


オバマさん、二人とも、民主党選出ですよ!仲間の宗旨くらい覚えといてくださいよ! 彼の寛容な宗教多元主義的な思想のルーツは仏教徒の多いハワイのはずなのに、無視するなんてひどいと思うぞ。


この時の連邦議会選挙では、初のイスラム教徒議員が誕生したことが日本でも話題になったが、同時に仏教徒も議員になったのである。しかも二人も!しかも二人とも日本大乗仏教の信徒!にも関わらず、この事実はほとんど報道されなかった。話題にされることもなかった。


日系人の多いハワイとはいえ、キリスト教社会(教会社会)のアメリカで、先祖から受け継いだ仏教信仰を捨てることなく、国会議員にまでのぼりつめたヒロノ議員。そして自ら日蓮仏教徒として生きる道を選び取り、菩薩道にまい進して多くの人々の信頼をかちとったジョンソン議員。


二人のサクセスストーリーは、日本仏教のアメリカ東漸の物語として、宗旨宗派を超えて、日本人全体で随喜をもって受け止めるべき慶事だったのではないか。


創価学会という特定団体の宣伝になってはまずいという余計な配慮のためか、単なるマスコミの宗教オンチのせいか、この快挙がG8唯一の「仏教国」日本(二人の奉じる宗派を生んだ国)で無視されたことが、オバマ就任演説時における「仏教パッシング」に繋がってしまったように思えてならない。


まことに残念だが、いまからでもこの事実を知る人が増えて欲しいと願う。

以下、参考サイト。

大アジア思想活劇―仏教が結んだ、もうひとつの近代史

大アジア思想活劇―仏教が結んだ、もうひとつの近代史

拙著『大アジア思想活劇 仏教が結んだもうひとつの仏教史』
19世紀末から二十世紀にかけてハワイ王家出身のメアリー・フォスター夫人は、アナガーリカ・ダルマパーラ居士による仏教の世界宣教をバックアップし、日系人の仏教寺院建立にも支援を惜しまなかった。オバマ大統領就任で大きな転機を迎えつつある環太平洋社会の近代史を、「仏教復興」という視点で捉えなおした歴史活劇。>>書評など詳細情報

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*1:[http://buddhism-orc.ryukoku.ac.jp/ja/annual_report_ja/annual_report_2002_220-228_ja.html:title=那須英勝「アメリカにおける仏教・浄土真宗の魅力」(CHSR)]

*2:She considers herself a non-practicing Jodo Shinshu Buddhist,っつー位のものだが……

唯識三十頌を写す女

一昨日のエントリに絡んでアビダルマや唯識系の仏典をつらつら調べていたら楽しくてたまらん。これはキリがないので、修行しない口実には最高かもしれない。

昨年7月末のブログによれば、宇多田ヒカルが『唯識三十頌』を写経しているという。

HEART STATION

HEART STATION

「7.28(Mon)17:52 手のひらを太陽に」で本人がそう語っている。

煩悩謂貪瞋 癡慢疑悪見
随煩悩謂忿 恨覆悩嫉慳

誑諂与害 無慚及無愧
掉挙与沈 不信併懈怠

放逸及失念 散亂不正知
不定謂悔眠 尋伺二各二

などと写しているのだね(驕は「りっしんべん+喬」、昏は「りっしんべん+昏」が正字)。

三島由紀夫豊饒の海』四部作から入ったそうだ。小室直樹センセイも『日本人のための宗教原論』で、三島由紀夫の同著を仏教入門として推奨していたっけね。僕は同じテーマの???楳図かずおの『イアラ』を読んだから、別にもういいかなと思って未読です。

『唯識三十頌』を読む (TU選書)

『唯識三十頌』を読む (TU選書)

唯識は面白いけど堂々巡り。

天人五衰―豊饒の海・第四巻 (新潮文庫)

天人五衰―豊饒の海・第四巻 (新潮文庫)

五劫の擦り切れ。

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

小室直樹の名著。

[豪華愛蔵版] 楳図かずお・イアラ

[豪華愛蔵版] 楳図かずお・イアラ

イアラ!楳図かずおの超時空ロマン。読後感最高。姫愛心!(号泣)

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〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜

マハムニ母子寮の危機

毎日新聞11月30日号から5回シリーズで、バングラデシュの仏教徒村にあるマハムニ母子寮の現状を紹介する記事が掲載された。

バングラデシュはパキスタンとの独立戦争の末、71年に建国したが、その際に多くの遺児が生まれた。母子寮はそうした人々を救うため、76年、日本人僧侶・渡辺天城氏の手で作られた。渡辺氏が02年に死去すると、僧侶・福井宗芳氏が2代目代表となり、日本での寄付金集めに奔走した。だが、その福井氏も昨年10月に死去。自転車操業だった資金繰りは破綻(はたん)した。現在、日本人支援者が管理する運営基金から毎月約20万円が支給され、不足分を特定の支援者による臨時の寄付でつないでいるが、基金はあと2、3年で底をつく。

2存続危機のマハムニ母子寮

予想以上に厳しい現状が報告されている。福井和尚にはパティパダー誌への寄稿をお願いしたり、2006年6月の帰国時にはゴータミー精舎で講演してもらったりしたご縁がある。個人的にも「マハムニ母子寮」支援のため、毎月少額だがお布施をさせていただいている。来月からは金額を増やさなければと思った。しかし、

日本人僧侶の福井宗芳氏が亡くなり、存続の危機に立たされたバングラデシュのマハムニ母子寮。33年間にわたり貧困家庭の子どもたち2000人以上を救ってきた。専門学校などに進学し立派な社会人となった卒寮生も多い。だが、寮の運営を支援する卒寮生がほとんどいないのも実情だ。
(中略)
 実は象徴的な出来事があった。母子寮のマネジャー、ノトゥ・ムツドイさん(39)に、できるだけたくさんの卒寮生に集まってもらうよう呼びかけてもらった。「20人は集まる」と予想していたが、実際にはわずか2人だけだった。1人は約30年前、毎日新聞のキャンペーン報道で「鉛筆の少年」として登場したルーパヨン・ボルワさん(39)。もう1人は日本滞在経験があり、現在は薬局を経営するチョンドン・ボルワさん(39)。チョンドンさんが寂しそうに語った。「みんな、寮に来たら寄付をしなくちゃいけないことが分かっている。だから寄りつけないんですよ」

4「寄付しなくちゃ」心の負担に

という現実は寂しく、厳しい。

バングラデシュを知るための60章 エリア・スタディーズ

バングラデシュを知るための60章 エリア・スタディーズ

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〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜

駒澤大学が大損失

あらら。曹洞宗系の教育機関をめぐる「お金の問題」については、当ブログでも

で取り上げたことがあるが、今回の巨額損失事件についても、上記記事でリンクした、

がいち早く報じていた。ブッダの教えとは程遠い生臭い話だが、今後の動向を見守っていきたい。

わが家の仏教 曹洞宗

わが家の仏教 曹洞宗

〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜

スリランカ・聖地キャンディ

冥想会の後、ワンギーサ師のワンセグ携帯を覗き込んで観たNHKのドキュメンタリー、

スリランカの聖地キャンディ。その寺院群が世界遺産に登録されている。なかでも仏歯寺には、仏教徒たちの信仰の象徴となっているものがある。ブッダの左の糸切り歯といわれる「仏歯」だ。この夏、キャンディでスリランカ最大のペラヘラ祭りが催された。70頭のゾウや2000人以上の踊り手が街中を練り歩く、400年近く続くこの祭りでは、現在、内戦で対立するシンハラ人とタミル人が、民族をこえて盛り上がる。

番組では、北部の要衝キリノッチをめぐる戦闘が激しさを増すスリランカ内戦とその背景について紹介しながら、LTTEのキャンディ仏歯寺への爆弾テロによって妻を亡くしたシンハラ人の老人、シンハラ人の女性と民族の垣根を越えて結ばれたタミル人青年(かつてはタミル人とシンハラ人の通婚は珍しくなかったが、内戦の激化とともにほとんど無くなってしまったという)が、それぞれの思いを胸に、スリランカ最大の祭典である仏歯寺のペラヘラ祭に参加するまでを描いていた。2インチの画面で見ても感動的な作品だった。

以下の番組サイトによれば、月内にあと3回、再放送するようなので、見逃した方はぜひ!

そ、そういえば国博の特別展「スリランカ―輝く島の美に出会う」まだ行ってないや……。油断してると終わってしまうな。

〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜

韓国の僧侶デモ

去る8月27日、韓国ソウルで仏教徒による大規模な示威行動が起きた。

曹溪宗(チョゲジョン)をはじめとした佛教27の宗教団体は同日午後2時、ソウル市市庁前のソウル広場で、僧侶1万人あまりと佛教信者など20万人あまり(主宰側の試算、警察の試算では6万人)が出席し、「憲法破壊や宗教差別を行っている李明博(イ・ミョンバク)政権を糾弾する汎仏教徒大会」を開いた。

解説すべき背景はいろいろあるのだが、一番よくまとまっている「レイバーネット」の記事を注釈入りで紹介しておこう。太字は引用者。

仏教界、なぜ「角」を出したか

ソウル市長の時、ソウル市を「神様に奉献」した李明博大統領の就任以後、仏教界が「宗教差別」と呼ぶような事例は着実に起きていた。就任初期に政府の主要閣僚を任命する時から、「希望教会(引用者注:ソマン(所望)教会)」のコード人事が問題になった程、キリスト教偏重人事引用者注:韓国でキリスト教とゆー場合はプロテスタントのみを指す。カトリックは「天主教」とされる)が目立った。

李明博大統領が3月にキム・ジノン・ニューライト牧師と大統領府での礼拝を行ったり、5月の純福音教会の朝食会祈祷会には参加しても、釈迦生誕日は無視したこと引用者注:釈迦誕生日は韓国の公的な祝日。李明博は自分のプライベートな教会行事を優先して、国家行事を軽んじたのである。信仰以前に、国家元首としてこれはNGだろう)等、直接の活動とともに政府公職者の連続する仏教界の気持ちを逆撫でしてきた。

3月にキム・ソンイ保健福祉部長官候補の「(引用者注:韓国社会の二極化は信仰心が足りないから引用者注:貧富の差が生まれるのは国民がキリスト教プロテスタントを信じないから!!!)」という過去の寄稿が表面化して論議になり、5月にはチュ・テジュン前大統領府警護処次長が「すべての政府部署の福音化が私の夢引用者注:韓国政府をキリスト教で完全に牛耳ることが夢ですっ)」と発言した。6月にはチュ・ブギル大統領府広報首席が「キャンドル集会参加者はサタン引用者注:プギャ〜〜!)」という発言で物議をかもした。

そのうちに6月末、国土海洋部が公開した交通情報システム「アルコガ」には教会の情報は詳しいのに、曹渓寺のような寺社情報が脱落している事実引用者注:邪教=仏教の存在そのものをソウル:神にささげられた市から抹殺!)が伝えられ、仏教界の本格的な怒りが起こり始めた。数日後、オ・チョンス警察庁長官が「警察福音化クムシク大成会」の広告ポスターに汝矣島純福音教会のチョ・ヨンギ牧師と並んで登場引用者注:警察権力はキリスト教の味方と宣言)し、1ヶ月後の7月には曹渓宗総務院長チグァン僧侶の車両を警察が強制検問捜索引用者注:これはBSE牛肉の輸入反対デモの首謀者を曹渓寺で匿っていることへの嫌がらせ)したことで対立が深刻化した。

最近「仏教新聞」が「李明博政府の宗教差別監視のための汎仏教連席会議」の発表資料を土台に、宗教差別関連の事例を分析した結果、この6か月間で16件が集まり、盧武鉉前大統領在任期間5年間での19件と同様の数値を示した。

今日の汎仏教徒大会に参加した仏者たちは「国民に差し上げる文」で「李明博政府発足以後、公職者の宗教差別と仏教蔑視によって宗教平和が破壊されている」とし「宗教間の平和を破るいかなる行為も未然に防止する制度的な立法措置を望む」と明らかにした。

以下、その他の記事リンク。

大手新聞も事態を憂慮している様子。基本的に仏教界に同情的である。そりゃ、こんな「神の国ごっこ」を続けてたら国が滅茶苦茶になるわな。

曹渓寺に反政府活動家が匿われている件。

韓国の最大宗派、曹渓宗には日本語サイトもある。更新が途切れているが法話などけっこう充実。華厳哲学を中心に据えた禅宗だが、李氏朝鮮から続く数百年の弾圧に耐えてきたど根性集団だけに、その修行は「韓国陸軍の特殊部隊より厳しい」(場合もある)らしい。

とりあえず27日は平和的なデモに終始したようで、社会に模範を示したという面でも仏教徒の面目躍如だったのではなかろうか。

〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜