最近読んだ本とマンガ(死刑と無期懲役、など)


パティパダー入稿終わったところで備忘メモ。文字通りに、最近読んだ本とマンガ。※MUDMEN(マッドメン)忘れてたので追加。


生きる意味―「システム」「責任」「生命」への批判

生きる意味―「システム」「責任」「生命」への批判

高校生の頃に好きだったイリイチのインタビュー集『イバン・イリイチ 生きる意味 「システム」「責任」「生命」への批判』デイヴィッド・ケイリー編/高島和哉訳/藤原書店/2005(原著1992)。当時は『脱学校の社会』asin:4488006884を勉強しない正当化に使った気がするがw イリイチとは、歴史学の手法で禅の実践を試みたカトリック聖職者なのか。訳者が同年代(1971年生)なのも感慨深かった。『ジェンダー』asin:4000271350以降の著作は読んでなかったので、イリイチの思想と絶望の深まりを本人の言葉を通して追体験したような感動と悲しみ。

メモ:「失った金を取り戻すためにさらに金を注ぎ込むな。失った時間を取り戻すためにさらに時間を費やすな。」(イバン・イリイチの祖父の教え)


闇金ウシジマくん 16 (ビッグコミックス)

闇金ウシジマくん 16 (ビッグコミックス)

闇金ウシジマくん 17 (ビッグコミックス)

闇金ウシジマくん 17 (ビッグコミックス)

闇金ウシジマくん16,17(楽園くんシリーズ)おしゃれさんも大変だ。主人公を奈落に突き落とすGO10(ゴトー)くんは、最近大麻で捕まった某HIPHOPアーティストとイメージが被った。


ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 2 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 2 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン1,2 そういえば俺って軽音部じゃなかったんだよな。バンドはやってたがバンド内恋愛したことないな。


のだめカンタービレ(22) (講談社コミックスキス)

のだめカンタービレ(22) (講談社コミックスキス)

のだめカンタービレ(23) (講談社コミックスキス)

のだめカンタービレ(23) (講談社コミックスキス)

のだめカンタービレ22,23 惰性で読んでる。


アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 2 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 2 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー1,2 ショックを受けた。『アバター』観た後も、目をつむると脳裏に浮かぶのはてっこさんの事ばかりです。


海のトリトン(1) (手塚治虫文庫全集 BT 23)

海のトリトン(1) (手塚治虫文庫全集 BT 23)

海のトリトン(2) (手塚治虫文庫全集 BT 24)

海のトリトン(2) (手塚治虫文庫全集 BT 24)

海のトリトン1,2 ガノモスは仏教徒だな。この珠玉の作品が、バカ(日本の「製作委員会」系映画関係者)に見つかりませんように。


アトム今昔物語 (手塚治虫文庫全集 BT 32)

アトム今昔物語 (手塚治虫文庫全集 BT 32)

アトム今昔物語 幼少期のトラウマ漫画の一冊。筋は紹介は省くが、チラ見で撃沈するほどの重さ。ウサギくん改造、酷過ぎるよ〜〜〜マジで人間やめたくなるわ。ロボット人権宣言が出されるきっかけはアトムに恩義を感じたカビ型宇宙人のおかげ。人間が自ら頑迷さを改めたわけではない。なんか、当時の手塚治虫の絶望の深さを垣間見たような気がする。この珠玉の作品も、バカ(日本の「製作委員会」系映画関係者)に見つかりませんように。


弥勒の掌 (文春文庫)

弥勒の掌 (文春文庫)

近所の啓文堂で一押ししていた我孫子武丸『弥勒の掌』、新興宗教ネタとゆーことで読んでみたが、現在のネット環境を考えるとあまりに古い仕掛けで興冷め。初出は2005年なんだが。ラストのドンデン返しも、「言及してない事実ならいつ出してもいいのかよ!」と突っ込みたくなった。小説は他のジャンルに比べて読後の「時間の無駄」感が強い。


MUD MEN 最終版 (光文社コミック叢書SIGNAL)

MUD MEN 最終版 (光文社コミック叢書SIGNAL)

諸星大二郎『MUDMEN 最終版 THE DIRECTOR'S CUT』マッドメンいろんな版で読んだけど大判はいいな。抑制されたユートピア喪失物語。この水準のマンガを読むと、確かに『アバター』なんざ毛唐の虚仮威しに思えて仕方ない。文化の構築とは「時間の凍結」への誘惑ではないか、という問いかけも含んだ深い作品。


生きる希望―イバン・イリイチの遺言

生きる希望―イバン・イリイチの遺言

『生きる希望 イバン・イリイチの遺言』藤原書店 読んだけどカトリック神学批判とかよくわからん。イリイチさんはヨーロッパの奥深くに帰っていかれた。さようなら。


大河ドラマ入門 (光文社新書)

大河ドラマ入門 (光文社新書)

小谷野敦大河ドラマ入門』(光文社新書)あえて落書きテイストを狙った?自筆イラストがシュールすぐる。第四章・史実と大河ドラマ 勉強になった。


葬式は、要らない (幻冬舎新書)

葬式は、要らない (幻冬舎新書)

島田裕巳『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)葬式は「要らない」ものとしてゼロベースで考えた方が実りある深い議論ができるし、現代はそれが可能な環境になってきている、ということ。勿論、ご両親がすでに俗名での葬儀を選択したという著者の家風も反映されていると思うが。

戒名のカラクリを解剖した4章以降は特に面白い。創価学会の仏壇の方がむしろ仏教的な意味での仏壇だし、父系母系両家をまとめて祀る霊友会立正佼成会系の総戒名は都市家庭のあり方に合致してたという指摘は納得。この辺は伝統仏教が彼等から学ぶべきかも。

ふと思ったが経済的に葬式仏教にならざるをえない日本の寺院も、ベーシックインカムが導入されれば状況がだいぶ変わるかもしれない。志ある僧侶が、もっと幅のひろい活動をできるようになるかも。

ベーシック・インカムは魔法の杖ではないけど、非営利系で仕事するのが向いてる人にとっては助かるのではないか。人材が流動化するのでお寺を手伝いたいという在家出身者も手を上げやすくなるだろう。世襲一辺倒の流れも変わると思う。


死刑と無期懲役 (ちくま新書)

死刑と無期懲役 (ちくま新書)

坂本敏夫『死刑と無期懲役』(ちくま新書)著者は元刑務官。決してうまい書き手ではないが、第一章「死刑はこうして執行される」からぐいぐい読ませる。事実の迫力ってのはすごいものだ。後半は冤罪問題を扱っており、小沢事件で多少なりとも検察やマスコミに疑問を抱いた人は必読。

第九章・冤罪はなぜ起こるか、で2002年の名古屋刑務所保護房死傷事件を検察特捜部とマスコミと政治家(当時の野党・民主党)が各々の思惑で作り上げた冤罪として取り上げている。簡潔な描写だが、司法の現場のおぞましい実態に慄然とさせられた。

刑務官と検察官の懇親会で、検察官たちは「悪はどんなことをしても徹底的に糾弾する。われわれの手にかかれば白でも黒にできる」と公言していたという。白を黒にするような行為を『悪』というような気がするんだが……。

裁判官は調書に書かれた自白とそれを補強する証拠を何より重視する。弁護側がどれだけ科学的な反証をしても採用しない。検察に迎合しているにせよ、典型的な人文系頭に陥っている。裁判官こそ、本来は理系頭であるべき、と著者。

第一章「死刑はこうして執行される」と、第十一章「死刑台からのメッセージ」は独立した短編ノンフィクションとして読んでも鳥肌がたつ出来。無期懲役囚の処遇や、終身刑導入の問題など読みどころは多々あるけど、この二編だけでも読んだ価値はあった。

第三章・死刑執行というメッセージより。永山則夫の執行時の抵抗は激しく、遺体はまるで撲殺されたようなひどい状態だった。そのままでは弁護士に引き渡せないとして、わざわざ火葬したそうだ。これも知らなかった。

同書では、教誨師(仏教・キリスト教)の活動についても触れている。戦後の「政教分離」で受刑者の宗教的ケアはかなり後退した。死刑囚のケアをする教誨師は「無報酬のまったくのボランティアとしては、他に類をみない最高に重い仕事といえる」と記す。


と、こんな具合だけど、結論。坂本敏夫『死刑と無期懲役』(ちくま新書)だけは読んでおいた方がいい。おススメします。

死刑と無期懲役 (ちくま新書)

死刑と無期懲役 (ちくま新書)


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