極楽寺殿御消息57

しばらく時間が空いてしまったが、北条重時の「極楽寺殿御消息」57条を書写。
跡取りのいない御家人への教え。僕も当てはまるから、よく覚えておこう。

原文

一(57)、子なきものゝ罪のふかきは、後生をとぶらはざる事はさてをきぬ、としごろのすぐるまで、浮世にまじはる事のかなしさよと申候人のありし也。子なくしてゆづるかたなしとて、かぎりある死期をのぶべきか。もつところの財宝佛神にきしんするとも、又人にたてまつるとも、あまる事ありがたし。かしこきかほにするとも、ゑんまの使のがれぬかぎりあるべし。としすぎて後世をねがひたまはぬ人をば、神佛にくみ給ふなり。

現代語意訳

一(57)、子供がいない者の罪(前世の罪)が深いというのは、後生を弔ってくれるものが居ないことはさておき、「子供がいないといつまでも隠居できずに、世間に立ち交わって働かないといけないのがつらいことだよ」と言った人がいる。子供がいなくて家を譲ろうにも譲れない、と言っても(家督を手放さなければその分)寿命が延びるわけじゃないだろ。自分には持っている財産を神様ホトケサマに寄進したり、他人に分け与えたりするほどの余裕はないよ、とわけ知り顔をしたって、閻魔の使いからは逃れられないぞ。歳老いても、来世の幸福を願わない(財産への執着を捨てない)人は、神様ホトケサマにも憎まれるよ。

訳文をちょっと直しました。たぶん当たってると思うよ。

〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜