「チベットを救え!」デモに参加

日本青年館を基点におこなわれた「チベットを救え!」〜チベット問題の平和的解決を求める大集会&デモ行進〜に一家(人間のみ)で参加。日本青年会での集会には約1300人、その後のデモ行進には主催者発表で4200人(体感的にも、終点の代々木公園ステージ前で話を聞いていた人数だけでも3000人以上は確実にいたと思う)が結集。すっかり日本でもおなじみになったチベット旗の他、仏教旗(国際バージョンと日本バージョン)、東トルキスタンウイグル)旗、内モンゴル旗、台湾旗、ベトナム民主派の旗なども見えて、他に北朝鮮からの「脱北者」グループや中国民主化活動家、亡命ミャンマー人、日本の民族派やアムネスティ・インターナショナルまで集まって、「中華人民共和国東のジャイアン)被害者の会」総会といった趣だった。

なんだか、中国政府がもっとも恐れている展開そのまんま、日本で予行演習してしまった感じであった。辛亥革命の前から、日本は「中国革命の前線基地」だったわけだけど、その地政学的なポジションは案外、現在も変わっていないかもしれない。デモ行進でちょうど僕も目の前にいた筋金入りっぽい活動家の男性が、野外ステージ上で「辛亥革命当時も、日本政府は袁世凱政権に肩入れしていました。孫文ら革命派を支えたのは日本の心ある民間人だったのです!」云々とアジっているのを聞いて、そんな事を思った。


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日本青年館での集会の様子。モーリー・ロバートソンらの司会で、在日チベット人の皆さんをはじめとする関係者の挨拶と決意表明が続いた。目玉ゲストはララムサラのチベット亡命政府議会の議長さん。あと、民主党の枝野衆院議員もデモ行進まで参加。長野でチベット支援を続ける若いお坊様も挨拶。1300の座席はほぼ埋まっていたが、隣の明治講演にはその数倍のチベタン・サポーターが……。


青山近辺をデモ行進中に撮影。はるか前方までチベット旗の海。


表参道で「チベットに自由を!」と叫ぶデモ隊。道行く人々も好意的でFree Tibetの声に唱和するノリのいい外国人も多かった。びっくりしたのは、すれ違った右翼の街宣車からも英語でFree Tibetと叫んでいたこと。英語で……いいの?街宣車の窓からは5、6歳の可愛い男の子が手を振っていた。お、親子連れでいいの?GW最後の日、パパと街宣車で出かけた表参道か。すごい思い出だなぁ。


代々木公園野外ステージ。正面右手前に写ってる仏旗を振って歩きました。正面左で西日を浴びているのは日本バージョンの仏旗。水色の旗は東トルキスタンの旗。ぶっといカイゼル髭にきらびやかな民族衣装をまとったウイグル人のおじさんたちも素敵だった。


ステージの方をボケーッと見てると、法友のHumaさんの一隊が到着。日本青年館ではクワンネお姉さんとも再会を喜び合いました(こないだアースデーでも会ったけど)。テーラワーダも武闘派?は寺男だけ、とゆーわけではありません(笑)。


正面に見える青い旗が内モンゴル旗。内モンゴル中共政権に併合されるまでは独自の行政機構と軍隊を持っていた。漢民族同化政策に耐え、抗し、現在も独立を目指す人々がいる。


野外ステージでは、8日に胡錦濤主席の講演が予定されている早稲田大隈講堂をチベット旗で埋め尽くそうとゆー早大生のアピールが拍手喝采を浴びていた。


代々木公園の陸橋から俯瞰で撮った写真。だいぶ人の圧力が和らいだ後の撮影だけど、とてもフレームに入りきらない。西日差す代々木公園にチベットの国歌とFree Tibetコールが延々と響くなか帰路に着いた。お寺に戻って、さっきまで原稿作成。

さて、これから自分がFree Tibet運動の先にある「中華人民共和国(東のジャイアン)被害者の会」的な流れにどこまで関わっていくかはまだ解らない。俯瞰して状況を眺めたとき、東トルキスタンはともかく、内モンゴルの自治権拡大や中国本土、ミャンマー、またベトナムの民主化という政治的スローガンは「仏教徒」共通の問題でもありうる。歴史的に「元仏教」だった東トルキスタンも含めて、当事者がそれぞれの民族文化を棚上げしたところで共有しうる精神的財産は、やはり仏教しかないと思う(まぁ大勢としては「自由と民主主義」の現地風味付けの一種として使われる程度であろうが……)。

かつてアナガーリカ・ダルマパーラが構想したように、アジアを貫く精神的な絆として、仏教が果たしうる何かがあるかもしれない。いや実際に現在進行形チベット問題は、善光寺の英断に代表されるように「世界の中の仏教国日本」としての自己認識を少なからぬ日本人に想起させてしまった。

その一方で、木村泰賢が80年以上前に投げかけた、「…総じて仏教運動に欠けている大事な要素がある。即ちそれは思想的立脚地の確定し居らぬことである。換言すれば仏教運動と称しながら実は仏教思想をいかように体系づけ、之をいかように現代的に実現するかの根本方策を欠いて、ただ漫然と仏教主義とか仏陀の精神に基づいてとかいうが如き表幟を以てすることである。」(『祖国 PATRIA ET SCIENTIA』創刊號 學苑社 S3.10.1)という課題はそのままに残っている。残っているが、そこから一歩を踏み出すための思想的ツールは、すでに準備されているのである。

とゆーわけで、パユットー師の著書2冊を紹介して本日のレポート終了。

テーラワーダ仏教の実践―ブッダの教える自己開発

テーラワーダ仏教の実践―ブッダの教える自己開発

仏法―テーラワーダ仏教の叡智

仏法―テーラワーダ仏教の叡智



怨親平等


〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜