沢庵和尚、業を語る(2)

パティパダーの原稿作成,ダンマキャスト編集作業など。

『東海夜話』書写。

(承前)この世は夢なり久しかるべからず、財宝多くあつめ持ちて悦ぶといえども、枕の夢に金を得て実の金と思ひ、悦ぶこと限りなけれども、覚める時金にあらざるが如し、夢の中にこれは夢なりと知らぬものなり、覚めて後こそ夢とは知れ、しかればこの世も夢なれど、夢の中なれば、夢ともしらず、財宝を多くもちては実の財宝なりと思ひ、屋宅を結構にしてはこれ蜃楼化城なることをしらず、実の結構なりと悦び、人と争ふも夢なればさめて相手なし、しかるを実の人と我れなりと思ひ、勝つときは則ち悦ぶ、勝つことを悦ぶ故に、専ら人我勝負を務む、願くば勝つことを悦ばず、負ることを怒らぬ心になりて、夢の勝負を勤めずして勝ちも負けもせぬ人たらんは如何ぞや、専ら勝負を勤めて勝ちつ負けつする人とならんや、また勝負の修羅を止めて、勝ちもせず負もせず、心平穏なる人とならんか、勝負の修羅を勤むる人、負るときは則ち瞋恚の焔をもやし、身を焦し、胸をやく、これ身の損に非ずや、また勝つときは則ち悦ぶ、この喜びも、何程我身を潤色することありや、只笑ふ声空に聞ゆるのみなり、(続く)
(『東海夜話』より)

「願くば勝つことを悦ばず、負ることを怒らぬ心になりて、夢の勝負を勤めずして勝ちも負けもせぬ人たらんは如何ぞや」心に染みますね。「勝負の修羅を勤むる人、負るときは則ち瞋恚の焔をもやし、身を焦し、胸をやく、これ身の損に非ずや、また勝つときは則ち悦ぶ、、この悦も、何程我身を潤色することありや、只笑ふ声空に聞ゆるのみなり」ここも好きなくだりです。他人と勝ち負けを争って一喜一憂する生き方はほんとに詰まらないなぁと思えてきます。

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〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜