Buddha Machine(ブッダマシーン)と念仏ボックス

久々に仏教グッズネタをば。全国のライフハッカーの皆様方の間で、9種類の癒しサウンドを搭載した「ブッダマシーン」が流行の兆し???

この「ブッダマシーン2」は、ご存じの方も多いかと思いますが、一言で言うと、「9つの涅槃サウンドが入ったスピーカー」です。初号機が大人気で、昨年末に後継機が出たのですが、サラリーマンの昼休み向け(と勝手に解釈)に華麗なるバージョンアップを遂げているところが注目です。

Buddha Machine 2.0 (Brown)

Buddha Machine 2.0 (Brown)

amazon.co.jpにて¥ 3,290にて販売中なり。お試ししてみたい方には、Zendesk - FM3 Buddha Machine WallというWebアプリもある。

この「Buddha Machine」のオリジナル版は、中国人のミュージシャンのFMさんが作った小型のトランジスタラジオのようなもの。これをFMさんの許可を得て、技術サポートをおこなっているZenDeskという企業が、環境音楽のようなかたちにしました。

中国伝統楽器の音を元に作られた9種類のサウンドループを自分なりに組み合わせてみると、なかなか面白い気分にひたれる。制作者であるFM3(北京在住の音響アーティスト、Zhang Jian さんと Christiaan Virantさんのユニット)公式サイトから、音源をダウンロードできる。

で、ここからが本題なのだが、この「Buddha Machine」は中華仏教圏で広く普及している電池式の電子念佛機(念仏ボックス)の筐体をそのまま流用して音源を入れ替えたものなのだ。

中国や東南アジアで普通に見られるお経を流す念仏機に、北京を拠点とするChristiaan Virantと張薦からなる音楽デュオFM3によるアンビアント・ループを入れたループ・プレイヤーがブッダマシーンbuddhamachine。以後他のアーティスト達によるリミックスであるjukebox buddhaがドイツのレーベルStaubgoldから出て、ブッダマシーンbuddhamachineが広がりを見せている。buddhamachine自体は2005年に当初500台が作られ、そのうち300台がドイツのシュタールプラートのレーベルで販売され、残り200台はインスタレーション・アート展で販売された。現在世界には15000台が流通していると見られる。ブライアン・イーノもbuddhamachineのファンで中国に来た際には8台を一気に買い入れている。

 作品の元をたどると――中国には電子念佛機*1という、さまざまな念仏が聞ける一般プレーヤーが売られており、再生すれば仏に“会える”。念佛機に着想を得たfm3は、念仏ではなくアンビエントミュージックを楽しめる「ブッダマシーン」を作り出したというわけだ。

「ブッダマシーン」の本家である電子念佛機については、何度かこのブログでも紹介している。


渋谷東急ハンズで記念品作りに使う文具を探していたら、中国買い付け品の販売コーナーでこんなのを見つけました。みうらじゅんいとうせいこうの『見仏記〈3〉海外編 (角川文庫)』で登場した念仏ボックス。「南無観世音菩薩(なーもかんぜおんぼーさー)」と女性が唱える艶やかな念仏と「阿弥陀仏(あーみとーぶっ・あーみとーぶっ)」という混声合唱のような念仏がいい湯加減の伴奏に載って繰り返される。二種類の念仏はボタンで切り替えます。日本の暗いイメージの「お念仏」とは随分違うなぁ。目をつぶるとお浄土の光景が浮かんでくるようなやさしくて大陸的なおおらかな明るさに満ちた念仏。この波動はイイ! 単三電池2本で動くのですが、ACアダプターのジャックとイヤホンジャックもある(接触悪くて、イヤホンじゃ聴けたもんじゃないが…)。


スタンダードな携帯用電子念仏機。


仏像(阿弥陀仏)タイプ。


お坊さんタイプ。

ところで、この念佛機(電子念佛機)、中華仏教圏ではかなりメジャーな法具?になってるらしく、検索をかけるとかなりの数がひっかかる。念佛機お守り、仏像型念佛機(阿弥陀如来,観世音菩薩,大勢至菩薩)、MP3念佛機まで売っていたり*、BUDDHISM WALKMAN 念佛機* として売り出していたり。こちらの通販サイトを眺めた感じだと、最近の念佛機には12〜18種類の念佛音声や経文が収録されてるらしい。

あらためて上記の通販サイトを見てみると、


精巧mp3造型計數器+12段念佛機

など、MP3音源を採用して念仏計測機能*2まで搭載したものまで発売されている。主なスペックは以下のとおり。

規格:10*4公分{附項鍊}

12段念佛機:

●1.南無阿彌陀佛
●2.南無阿彌陀佛(印光)
●3.四字五音
●4.南無觀世音菩薩
●5.六字大明咒
●6.地鐘念佛
●7.觀世音菩薩(地鐘)
●8.南無本師釋迦牟尼佛
●9.南無地藏王菩薩
●10.南無消災延壽藥師佛
●11.阿彌陀佛(淨空法師)
●12.觀世音菩薩

生產地:中國
電流:4.5安培(無附變壓器)
使用 2A 電池2顆(無附電池)

阿弥陀仏でも、観音信仰でも、お地蔵さんでも、お釈迦様一筋でも、幅広く対応しております。日本でメジャーな光明真言やら南無妙法蓮華経やら入っていれば客層が広がるかもしれない。そのうち対応するかもね。こういう(信仰に関しても)欲望にまっすぐな中華系仏教のノリは面白い。

あと日本では阿弥陀仏の名号に「南無」とつけるのが一般的だが、中華系では「阿弥陀仏」と尊名のみを唱えるバージョンもあるようだ。念仏というとどうも暗いイメージがつきまとうが、「あ〜み〜と〜ぼ〜、あ〜み〜と〜ぼ〜」という四字念仏は散歩しながら口ずさみたくなるような(ホントにやってたらドン引きされるかもしれんが)明るさ、軽さがある。

電子念佛機については、以下のブログに詳しい現地レポートが載っている。

ライフハッカー御用達の癒しグッズのルーツは、チャイナタウンの路地裏でループし続ける電子念仏機にあった、というおはなし。*3

最後にyoutubeの中華系「念仏」「電子念仏機」動画を集めてみた。



阿弥陀佛 AMITABHA:どの電子念佛機にも必ず入っている音源(四字四音唱誦)のフルバージョン



阿彌陀佛聖號_四字四音唱誦:上のスローバージョン。回転数遅くしてるだけ?



電子佛光 念佛機:電子念佛機を開封して鳴らすまでの動画。グルグル光ります!



NL27八角佛光11首音樂念佛機:仏像型。さらにグルグル光ります!



清浄念仏:伴奏付き「南無阿弥陀仏」(女声)



真誠念佛:伴奏付き「南無阿弥陀仏」(男声)



阿弥陀佛―黄慧音:日本テーラワーダ仏教協会まわりでは知名度の高いマレーシアの仏教アーティスト、黄慧音(Imee Ooi)さんの「南無阿弥陀仏」。バックトラックも洗練されている。



台湾点击率最高歌曲:林天爱《阿弥陀佛》:台湾でクリック率最高の歌ってイマイチよく分らないが、中華圏では「阿弥陀仏」がポップスの題材になるのだ。*4アゲアゲ。


仏教世界は広い。

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〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜

*1:みうらじゅん氏は「自動念仏機」と呼んでいる

*2:浄土教のなかには極楽往生決定のために唱える念仏の数を重要視する流派もある。日蓮系の創価学会でも「宿命転換」を目ざして唱題○百万遍とか誓願して頑張るらしい……。

*3:最初の方で紹介したウェブアプリ、[http://www.zendesk.com/external/wall/:title=Zendesk - FM3 Buddha Machine Wall]のトップにも、「Inspires by Sam Poh Buddhist Temple, Brinchang, Cameron Highlands Malaysia」と記されている。ちゃんと仏教寺院に元ネタがあるのだ。

*4:日本でも、クレイジーケンバンドの「まっぴらロック[asin:B000065ECP]」のように茶化しフレーズとして「ナンマイダ〜」が使わる時もないではないが。