佛教史学会編『仏教史研究ハンドブック』法蔵館(2017年に読んだ仏教本より)

Twitterで書き散らしてた読書メモを年末に向けてまとめたいと思います。2017年に読んだ仏教本の記録として。まずは佛教史学会編『仏教史研究ハンドブック』法蔵館です。

仏教史研究ハンドブック

仏教史研究ハンドブック

 

インド、アジア諸国・地域、中国、朝鮮半島、日本の仏教の歴史と教義がつめこまれた便利でコンパクトな一冊。仏教史を学び始めたい人、幅広く知りたい人に最適!

版元ページに詳細目次が載ってます。

www.hozokanshop.com

これはすごい。日本仏教編では第4章がまるまる「日本近代」とな。20年前だったら想像だにつかない研究トレンドの変化っすな。(^^♪

その一方で、第1部第1章「インド」は日本その他仏教圏で用いられた”素材”としての仏典編纂史をなぞっているだけで、インド仏教の展開を通史的に捉える視座は皆無。勿論アンベードカルによる近代仏教復興運動は本文でも巻末年表でもガン無視。第1部第2章「アジア諸国・地域」も、やけにあっさり。

第2部「中国」「朝鮮半島」は日本への影響が大きい地域だけにバランスよい概説になっていると思う。まだまだざっと眺めただけの印象だけど、分野ごとの記述の偏りを感じ取るだけでも、現代日本の研究者たちが仏教史にそそぐ眼差しのありさまが伝わってきて面白い読み物です。

ちなみに第3部「日本」第4章「日本近代」(3)「異文化接触」 3「来日仏教徒」を吉永進一先生が執筆されているのですが、参考文献欄に拙著『大アジア思想活劇』サンガ,2008 を挙げて下さっています。いつもありがとうございます。m(_ _)m

~生きとし生けるものが幸せでありますように~