君子は人をそしること、(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚「東海夜話」より抜き書き。君子たるものは人の誹謗にいちいち怒るなと説いています。誹謗を忍んで言論の自由を尊重することで、ためになる言葉(良言)が自分に達するのだと。出典から前二節も読んでいただければと思います。

一、君子は人をそしること、我臣下として主君をかげにて誹謗するをば聞くとも、きかず顔して、これを誅すべからず、誅すれば損あり、誅せざればとくあり。これを誅すれば只悪きやつめ、我を誹謗するよと思ふ鬱憤を達して、快しと思ふばかりなり、その謗る人を失へば、人一人の損なり。人言(ことば)をつゝしんで言はざれば、則ち良言進まず、人を誅して憤りを達す、その憤り亡ぶ、これを忍びていきどほりを棄つれば、同じくこれその憤り亡ぶ。これ誅するとこれを忍ぶとは別なれども、憤りの亡ぶることはこれ同じ。然れば人を失して良言すゝまざるの損と、人をうしなはずして良言すゝむの人は、誅と忍ぶとに在り、君子これを忍べ。(巻之二)

 出典:国立国会図書館デジタルコレクション - 禅門法語全集 : 詳註邦文. 第1巻

不動智神妙録 (現代人の古典シリーズ 7)

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沢庵禅師逸話選

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日本の禅語録〈第13巻〉沢庵 (1978年)
 

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