生死即涅槃、煩悩即菩提、迷悟不二(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。当時の禅者が陥っていた錯誤を厳しく指弾しています。我々が禅語録などを読む際の注意事項にもなっていると思います。有難いことです。

一、生死即涅槃、煩悩即菩提、迷悟不二とをしふることは、本来空寂にして生死なし、煩悩の実性すなはち正覚なり、迷と思ふはすなはち悟也。一切の作業は幻夢のごとくして本来なきものぞと見れば、一切に相を見ず、一切に相を見ざれば、執着を離る、執着を断んがために、破相をしめすなり。相を破りて後、執を断し了り、還り来て世間を見るときは、則(すなはち)破相すべきもなく、断執すべきものなし。然るを今の禅者十分相に着し、執を持し、向上の人の行履(あんり)上の言説(ごんせつ)を取て、以て我有とす。天地懸隔せり、眼を閉て色を説くがごとし。(巻之一)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション - 禅門法語全集 : 詳註邦文. 第1巻

不動智神妙録 (現代人の古典シリーズ 7)

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沢庵禅師逸話選

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日本の禅語録〈第13巻〉沢庵 (1978年)
 

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