貝甲更らに芳しきものにあらず、臭きを以て能とす。(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。大乗仏教の化身論を薫物と貝がらの喩えで説明した箇所です。

一、薫物(たきもの)に貝甲(かひがら)を入ること、彼の臭きをかりて芳(かぐはし)きを衣小袖にとめるなり。貝甲更らに芳しきものにあらず、臭きを以て能とす。佛菩薩、化身再来して世を救ふにも衆生の煩悩をからざれば、化身再来はならぬなり。佛祖の心は著所(ぢゃくしょ)なき也、衆生の煩悩の念よりものに着く。故に其念を借りて母の胎に着て出現するなり。香は軽くして物に残り難し、貝甲の臭きは重くしてよく物につくを以て、借りてその香に和して薫を衣に留むる也。(巻之一) 

 出典:国立国会図書館デジタルコレクション - 禅門法語全集 : 詳註邦文. 第1巻

不動智神妙録 (現代人の古典シリーズ 7)

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沢庵禅師逸話選

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日本の禅語録〈第13巻〉沢庵 (1978年)
 

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