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人のおそろしと思ふは鬼なれど、(沢庵和尚の法語より)

沢庵和尚の「東海夜話」より。

一、人のおそろしと思ふは鬼なれど、目に見えぬと云へば名のみなり。実(げ)におそろしと云ふは只人なり、手足健(すこやか)にして、面に七穴開き、はしたなく弁舌ある人は無を有と云ひなし、天を地とも曲げ、鷺を鴉とも云ひなし、人を失ひ、死罪流罪に云ひなすも人の口也。芥川の辺りにて、鬼はや一と口にくひてんけりとは云へど、今夜ぞ実に鬼に喰はれしと云ふ人のはちをば見ず、人こそおそろしけれ。人は只爐中に一度入れたる炭を叉本の炭取りに入る、人は行末に眼しへ、人の嫌ふ病を受ると云伝へたるこそ実(まこと)なれ。炭のうらに火の付たるをも知らずして、蛍火須弥を焼くとはありがたきことに云へど、蛍火程の火燃つきて、墻壁(しゃうへき)につきぬれば、一城をみながら焼き亡ぼしぬる、其中の人の悲嘆が皆はさむ火筯(ひばし)の先にあらんことを知らざるものは、実におそれても余りあることなり。鬼はおそろしからず、人の仕業ほどのおそろしきことはなし、慎めや。(巻之一)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション - 禅門法語全集 : 詳註邦文. 第1巻

このヒリヒリするような法語の背景となっている沢庵和尚が生きた時代の雰囲気を知るためには以下の本が参考になると思います。

NHKさかのぼり日本史(6)江戸 “天下泰平”の礎

NHKさかのぼり日本史(6)江戸 “天下泰平”の礎

 

~生きとし生けるものが幸せでありますように~