スマナサーラ長老のヴィパッサナー冥想指導より

人間は明日、幸福になるために頑張っています。いつまで頑張ったって明日は永久に明日です。結局、死ぬまで幸福になれないのです
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苦があるから生きられる。痛みがあるから気をつけている。感覚に微塵でも『楽』があったなら、人類はもうとっくに滅亡しています
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考えることも相当苦しいんです。(だから私も、講演会がある事は全部忘れて内容は行きの車中で初めて考えるのです。)生きることに瞬間たりとも楽はないのです。苦と対照して楽と言っているだけ。それもすぐに消えてしまう。苦が減ることに我々は楽と言っているだけです。座っていて足が痛くなった人がたまらず立つ。それで痛みが消えるまで「楽」と言う。痛みが消えたら、もうその状態が苦しくなる。生命は苦から苦へと飛び回って一生を終える。生命を生かすのも苦、死なすのも苦、苦以外に何もないのです。
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感覚をかんじて放っておく。それが覚りのパスワードです。冥想を「評価」する人は誰一人、覚りに達しないのです。銀行に何千万円預金があっても、パスワード忘れたらおろせないでしょう。同じように、冥想で結果を出すためのパスワード『放っておく』を忘れないことです。
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人間は動きを『苦』で憶えているんです。だから、動きは早くなる。行為とは苦から逃げることだから、いつも焦って早くなる。そこで冥想では俗世間ではやらない、スローで動いてみることをあえて行うのです。普通の思考とは別のことをする。心が嫌がるスローモーションをあえて行うことで、心に落ち着きが生まれる。落ち着いた心が育つことで、因果法則を発見するのです。覚りとは因果法則の発見なのです。
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人間は怠け者です。生きることは苦だから、当然、怠けたいんです。皆さんが悪人というわけではなく、それが生命のありのままの姿です。しかし、怠け者は覚れません。怠けを克服しないと覚りに達することは不可能です。怠けを無くす方法は『姿勢を正す』こと。背筋をまっすぐにして正しい姿勢を保つことで怠けが絶たれるのです。どんな世界でも成功者は、その分野での正しい姿勢が確立しています。姿勢が決まらないと、何も成功しないのです。姿勢は人生のあらゆる場面に関わっています。
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命はいつでも、宇宙の法則に逆らっているんです。生命は引力に逆らって動いている。それが苦の原因でもあります。立つことも引力に逆らうことなのです。
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2011年11月3日長崎県川棚町シセイプラネットにて

 

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自分を変える気づきの瞑想法【第3版】

自分を変える気づきの瞑想法【第3版】

 

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