『あの戦争と日本人』その他
戦争にまつわる本のこと、備忘録的に。
昭和天皇は最後の最後まで、陸軍の呼号する「本土決戦による一大打撃」と、その後の「有利な条件による講和」を信じさせられていたといえます。軍部のいう本土決戦計画などは砂上の楼閣だ、とほんとうのことを知ったのはやっと二十年六月十二日のことでした。
終戦時の昭和天皇44歳か……そりゃモッくんが演じるのも納得。軍部のホラ話に騙されてたことを知ったヒロヒトくんはいったん寝込んでから、戦争終結に(彼なりに)邁進するわけだけど。
なんつーか、もうちょっと早く動いていれば沖縄戦や広島長崎の原爆投下も無かったわけで、昭和天皇にはやはり最大級の戦争責任があったと思います。(帝都をB29に蹂躙されておいて、「これから、本土決戦で敵に痛撃を与えられます!」なんてホラを信じ続ける方もどうかしてるでしょ。)
そのあたりを身に染みて自覚しながら行動されているのが、いまの天皇陛下なんでしょうね。
大杉一雄『日中十五年戦争史 なぜ戦争は長期化したか (中公新書)』
私達がいま再検証すべきは日中戦争に至る近代史の流れ。時系列で執拗に歴史の"if"を問い続ける本書はよいガイドとなるだろう。
たしかに日本のおかれた環境は、経済的にも軍事戦略的にも中国を必要とした。しかし中国がそれと同程度に日本を必要としたかどうかはわからない。日本よりもむしろ欧米と接近したかったのかもしれない(中国国民党にはれっきとした「欧米派」が存在した)。それは中国の自由である。この意味において大アジア主義というのは日本中心の、しかも夜郎自大的な発想なのであった。したがって本当のアジア主義が成立するためには、日中が平等の立場にたたねばならなかったのである。
猪木正道『軍国日本の興亡 日清戦争から日中戦争へ (中公新書)』
防衛大の学長も務めた保守派研究者の著作。巻頭では戦後平和主義を批判するが、本文は戦前の軍国体制への静かな怒りに満ちている。おそらく猪木氏が1995年にものした本書も、ネトウヨや日本会議系の右派からすれば「反日サヨクの自虐史観本」と見なされるんだろうな……。猪木正道氏が本書で描いた1930年代の"集団発狂"と、昨今の嫌韓反中ブームはよく被るんだよね。"国体"盲信と周辺国への過小評価。そして徹底した無責任ぶり。
木村靖二『第一次世界大戦 (ちくま新書)』
読後感は最悪だが、転換点を迎えている"現代"の成り立ちを知る上で、いま読んでおくべき本だと思う。読後は眠れなくなりました。あ、キンドル版で読むなら、ペーパーホワイトお勧めですよ。
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~生きとし生けるものが幸せでありますように~