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真ん中除いて役に立つ『現代仏教塾1』

最近は仏教書もなるべくKindleで読めるものを探している。お寺の資料として必要なもの以外は電書がいいなぁ。もう目も悪くなってきたし、字を拡大できないと辛いっす。あとキーワード検索しないと込み入った話は前後の繋がり分からなくなっちゃうし。

現代仏教塾I

現代仏教塾I

 

とはいえ、まだまだ電書で読める良質な仏教書って少ないと思うんですね。スマナサーラ長老の本はぜんぶ素晴らしいですし、拙著『日本「再仏教化」宣言!』も迫力あっていいと思うんだけど。

そんななかで、比較的読み応えあったのが、お寺での連続講義を書籍化した『現代仏教塾1』です。ホストの三木さんは浄土真宗のお寺のかたみたいで、ゲストの吉村さんはチベット仏教、岩井さんは初期仏教(パーリ仏教)の中堅研究者。

んで、内容ですが話題の魚川祐司『仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か』前半でも論じられている近現代の仏教学でテンプレ化された仏教理解のまずさ、端的には輪廻と解脱に関する決定的な理解の誤りを指摘することで、下手にお勉強しちゃったばっかりに見当違いな仏教観に嵌り込んでいる知識的大衆に、「仏教のスタンダード」を提示するお仕事となってます。『日本「再仏教化」宣言!』でいえば、第二章で扱った問題ですね。

ただし、ホストの三木さんはどういうわけか、「五蘊のほかに魂的な輪廻主体がある」と固執しまくってるお立場です。無我を説いたブッダが輪廻を認めたはずがない!というのも、輪廻を認めたブッダが輪廻の主体(我)を認めなかったわけがない!も、どっちも邪見ですから。近現代の仏教学が陥ったを批判するのはいいけど、勢い余って仏教以前の魂論に堕落しちゃってどうするんでしょうか……。

ですので、本書のまんなかに挟まってる三木さんの講義をスルーして(三木さんの「はじめに」は悪く無いですよ)吉村、岩井講演だけ読むなら、仏教入門としてもけっこう役に立つ本だと思います。「現代仏教塾」で検索すると、youtubeでも動画を閲覧できますので、ライブ感を味わいたい方はそちらもお試しを。

日本「再仏教化」宣言!

日本「再仏教化」宣言!

 

それにしても、拙著の見立てどおり、日本は着々と「再仏教化」されつつあるような気がするのは、文字どおり気のせいでしょうか?

追記:

ところで、『現代仏教塾I』岩井昌悟パイセン講演のこのくだり 、

現代の多くの初期仏教を専門とする仏教学者の大前提と、その学説 〔前提1〕聖典の発展──聖典には古層と新層があり、古層が釈尊の説に近い。 〔前提2〕釈尊とその直弟子あたりは天才であったが、弟子たちは時代が下るにつれだんだんバカになった。そして現代の私たちは釈尊にならぶ天才。 〔前提3〕釈尊は私たちと同じく科学的で合理的だった。 〔学説①〕「無我だから輪廻はうそ」 〔学説②〕「輪廻するか否かは本当は無記だった」

その「無我」自体がまだきちんと理解されていない場合が多いにもかかわらず、その無我という言葉を重視して、輪廻という仏教の大前提を否定していくというのは、ナンセンスなんですね。  多くの学者が矛盾を見出すと喜んで、これが新しくて、これが古い部分だとやるんですけど、それよりも自分が正しく理解しているかを疑う方が、まず先だと思います。

さすが東洋大印哲、森章司先生の弟子だなぁと思ってニヤリとしてしまいました。ノリがまんま”森の青本”(仏教思想の発見―仏教的ものの見方)であります。

仏教思想の発見―仏教的ものの見方

仏教思想の発見―仏教的ものの見方

 

 ~生きとし生けるものが幸せでありますように~