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鈴木正三著作集(中公クラシックス)

久々のブログ更新です。

仏教書の読書メモを中心に少しずつ復帰していきたいと思います。

鈴木正三著作集? (中公クラシックス)

鈴木正三著作集? (中公クラシックス)

 
鈴木正三著作集? (中公クラシックス)

鈴木正三著作集? (中公クラシックス)

 

 今年の春になって、何冊か意欲的な仏教書が刊行されています。個人的に驚喜したのは『鈴木正三著作集』加藤みち子・編訳(中公クラシックス)。戦国末期から江戸時代初期にかけて生きた破格の禅僧の主要著作が現代語訳で2巻にまとめられています。

江戸時代の仏教は長らく停滞と堕落という文脈で語られることが多かったですが、実は傑出した仏教者がたくさん輩出された時代です。澤庵や白隠など比べると知名度は低いですが、「世法即仏法」という(誤解されやすい)キーワードに代表されるように、社会への影響力では彼らに匹敵する面白い仕事を遺したのが鈴木正三です。

もちろん現代の私たちが知っているテーラワーダ仏教やパーリ経典の明解さに比べるとゴチャゴチャした面もあるけれど、ぐいと膝を乗り出して法を説くような勢いのある法語、戦国時代の凄惨な修羅場を経たしみじみした人間観察と克己心、一切衆生への慈しみに貫かれた正三の眼差しには大いに触発されることと思います。

或る日、年取った武士が来て言う。「私は老いたりとは言え、まだ今時の若い衆にいつでも頭を取られるべきではないと一口に呑みこんでいる。〔このように〕自分は一人の武士として居るのであり遊民ではないから、悪道に堕ちることは無い。」師が叱りつけて言われる。「それ以上の悪道があろうか。誰もかれも一咬みにと思うのは、畜生心である。畜生こそ、自分より劣った者を呑み喰らい、驚しまわって自分の手柄とするものだ。あなたの心は是と同じで人間の心ではない。」「驢鞍橋」上巻22(2巻に収録)

 ~生きとし生けるものが幸せでありますように~