『日本「再仏教化」宣言!』書評(Amazon:ソコツさん&原始仏教ガールさん)

Amazon.co.jpで宗教学関連の素晴らしい書評をたくさん投稿されているソコツさん(その正体を巡って数年前から一部でさまざまな憶測が交わされている)が、拙著『日本「再仏教化」宣言!』のカスタマーレビューを書いてくださいました。

日本「再仏教化」宣言!

日本「再仏教化」宣言!

 

 5つ星のうち 5.0 初期仏教徒からの批判的提言2014/1/2

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Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 日本「再仏教化」宣言! (単行本)

快著『怒らないこと』などで知られるスマナサーラ長老の活躍などにより、日本でもテーラヴァーダ仏教に導かれて初期仏教を真摯に学び、その教えに生きる人びとが着実に増えてきている。そうした現状をふまえ、初期仏教に基づく日本「再仏教化」への提言を様々に行っている刺激的な本である。
「パーリ三蔵読破への道」という著者の連載を単行本化した作品であるため、基本的には初期仏教の正典であるパーリ三蔵に関する非常にわかりやすい解説書として書かれているのだが、同時に著者の日本仏教に対する極めて批判的な意識から、現代の日本仏教の当事者たち(僧侶や信徒や仏教学者など)に対する苦言めいた発言も多々盛り込まれており、これがとても面白い。近代以降の日本仏教ではなぜ「業」や「輪廻」があまり説かれなくなったのか、大乗/小乗という非対称的な二項対立にこだわる(しばしば後者を「上座部」と呼び換えながら)のは妥当なのか、大乗仏教はエリートの宗教から大衆の宗教への展開としてしばしば語られるが、しかしむしろ大乗仏教の方が初期仏教よりもエリート的で難解ではないか、大乗仏教徒は総じて「菩薩」にまどわされてやいないか、等々、日本仏教あるいはその根幹である大乗仏教に対する割と本質的かつ鋭利な疑念から、その仏教としての特殊性があぶりだされてきて素晴らしい。
初期仏教の魅力を知り、その「再仏教化」の運動に参加したい方はもちろんのこと、従来の日本仏教・大乗仏教の性質をあらためて考え直しながら、なおも日本仏教に留まり本書が目指すのとはまた別種の「再仏教化」を志したい人にも、是非おすすめしたい新鮮な仏教本である。

どこの誰かは知りませんが、ソコツさんありがとうございます。

 

また、ブログ「原始仏教ガール's日記」という素っ頓狂なブログを開設している原始仏教ガールさん(ゴータミー精舎でお会いしているらしいのですが……)も、主に著者の見た印象とのギャップに着目した書評記事、

を書いてくださっています。

スマナサーラ長老の講演会や瞑想会でお見かけする機会はけっこうありますが、いつもしかめっ面でiphoneやmacを手にしており、近寄りがたい雰囲気を醸し出していらっしゃいます。そのうえ、twitterなどでの発言も過激なので、目が合ったらどうしようとびびってしまうほど。

え……(^^; そんな著者の個人的なことはどうでもいいじゃないですか!とも思いますが、面識のある僧侶の方も、

佐藤哲朗さんの『日本「再仏教化」宣言』読了。"この本を読むまで、あなたは「ほんとうの佐藤哲朗」のスガタを知らない"と言っても良いだろう好著。TwitterやFBでの氏の言動に批判的な人にこそ読んでもらいたい。日本仏教徒の端くれとして、ここまで懇切丁寧な批判、提案に感謝したい。(https://twitter.com/hantaka/status/415470405151772672

とtweetしているので、人によってはそういうギャップが興味深い本なのかもしれません。

『日本「再仏教化」宣言!』では残念ながらAmazonの在庫は「通常2~4週間以内に発送」のままでランキングも奈落(1万位以下)に近づいていますが、お正月が明ければ復活すると思います。お急ぎの方はぜひ他のネット書店(在庫状況→ http://naagita.hatenablog.com/entry/2014/01/01/101921)やリアル書店でお求めいただければ幸いです。

 

~生きとし生けるものが幸せでありますように~