読了メモ(2011年9月1日〜12月22日)

昨年9月からの読書メモもまとめておきます。
 
2011年09月02日(金)

中国人の腹のうち (廣済堂新書)

中国人の腹のうち (廣済堂新書)

加藤徹『中国人の腹のうち』廣済堂新書、読了。編集者の佐藤賢二さんから献本いただいた。『漢文力』『貝と羊の中国人』『西太后 』など著書も多い加藤先生のインタビューをまとめた本。時評から歴史、政治、思想、文化まで幅広くざっくばらんな話が続く。肩の力を抜いて読むには丁度良い塩梅。こちらの記事で、もちっと詳しく紹介しました。
 
2011年09月06日(火)
中国嫁日記 一

中国嫁日記 一

井上純一『中国嫁日記』エンターブレイン、読了。●0代日本人オタク妻に介護されながらのびのび暮らしてる漏れは、どちらかとゆうと月(ユエ)さん視点で読んでしまった。
 
ママゴト 1 (ビームコミックス)

ママゴト 1 (ビームコミックス)

松田洋子『ままごと』1エンターブレイン、読了。面影ラッキーホールが大音量で鳴ってるようなオープニングから、はじまるアラフォー水商売女の「ままごと」記。2巻以降の展開どうなるんじゃろか。個人的には、『まほおつかいミミッチ』の続き読みたいよぉ。 
2011年09月13日(火)
WOMBS 1 (IKKI COMIX)

WOMBS 1 (IKKI COMIX)

WOMBS 2 (IKKI COMIX)

WOMBS 2 (IKKI COMIX)

白井弓子『WOMBS ウームズ』イッキコミックス、既刊の2巻まで読了。これは設定からして、男には描けないSFだな。伊藤計劃が生きていたら、なんと評しただろうか。3巻以降も楽しみだ。
 
エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)

エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)

石井彰『エネルギー論争の盲点 天然ガスと分散化が日本を救う』NHK出版新書356 読了。エネルギーの問題に関して、「哲学的観点、原理的な基盤まで掘り下げて」考察。タイトルは「エネルギーと文明」でも良かったか。分散型スマートエネルギーネットワークの構築を提言する。
 
曰く、飢饉による大規模餓死は歴史上「食料自給率の高い地域」でしか起こっていない。確かにこれは厳然たる事実だよね。自給率が高すぎると流通ノウハウが育たず代替の供給チャンネルが機能しないので、域内変動による資源の欠乏に対して極めて脆弱になってしまう。「供給安全保障の要諦は、一に多様化、二に多様化、三に多様化」(チャーチル)か。多様化とは、つまり、分散化であると。
 
ちなみに本書では「脱原発」までは言っていないんだが、石井さん最新刊は『大転換する日本のエネルギー源 脱原発。天然ガス発電へ』 (アスキー新書)asin:4048706977になってるのね。本命はやはり天然ガス・コンバインドサイクルか。結局、大筋では広瀬隆の言ってたことが当たってたってこと?
 
2011年09月14日(水)
45分でわかる! 数字で学ぶ仏教語。 (MAGAZINE HOUSE 45 MINUTES SERIES)

45分でわかる! 数字で学ぶ仏教語。 (MAGAZINE HOUSE 45 MINUTES SERIES)

星飛雄馬さん @humahoshi の新刊『45分でわかる!数字で学ぶ仏教語。』マガジンハウス、献本していただいた。一念、三宝、四諦、五蘊、六神通、七覚支、八正道、といった数でまとめたキーワードで仏教語を学ぶという趣向。これって実はかなり頭に入りやすいやり方で、パーリ増支部や漢訳の増一阿含経はこの方法でまとめられている。解説はテーラワーダ寄りなので、スマナサーラ長老の本を読み解くガイドとしても最適と思います。欲を言えば、数が1〜10まで揃うように「二見」、「九分経」または「九出世間法」なんかも欲しかったかも。仏教の基礎を頭に定着させたい人にオススメ!
 
白井弓子初期短篇集 (IKKI COMIX rare)

白井弓子初期短篇集 (IKKI COMIX rare)

『白井弓子初期短編集』小学館、読了。同人誌掲載作品と月刊IKKI掲載の短編1作をまとめた本。そこはかとないが「記念日」「成人式」は諸星大二郎なんかが好きなマンガ読みはツボにハマると思う。
 
2011年10月18日(火)
みんなの寺の作り方―檀家ゼロからでもお寺ができた!

みんなの寺の作り方―檀家ゼロからでもお寺ができた!

天野和公『みんなの寺のつくり方 檀家ゼロからでもお寺ができた!』(雷鳥社)みん寺の天野夫妻が本願寺仙台別院で運命の出会いをして二人三脚で単立寺院を設立、軌道に乗せるまでのドタバタ成長物語です。一風変わったラブコメとして、ドラマ化・映画化されて欲しいくらいの勢いでオススメ!
 
2011年11月18日(金)
日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦

日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦

NHKスペシャル取材班『日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦』新潮社、読了。これ程読後感の重い本も珍しいけど、読んで良かった。歴史読み物として、戦争論として、組織論として、日本人論として、広く一読に値する著作だと思う。

(しっかし組織防衛と予算取りのために数百万の国民を死地に追い込み、国家を破滅に追い込んでおいて、他人ごとのようにヘラヘラしてる旧軍関係者の厚顔無恥ぶりにはゾッとする。こういう人間疎外の系譜が現代にも受け継がれていることは、311後の政府や東電の対応を通じて思い知らされた。)
 
2011年11月24日(木)
デルクイ 01─反体制右翼マガジン

デルクイ 01─反体制右翼マガジン

『反体制右翼マガジン デルクイ』創刊号を読んだ。巻頭 LPOイベント再録でも喋りまくってる千坂恭二の存在感が圧倒的。
 
2011年11月29日(火)
体制維新――大阪都 (文春新書)

体制維新――大阪都 (文春新書)

『体制維新ー大阪都橋下徹堺屋太一 文春新書、読了。
 
2011年11月30日(水)
ヒトラーの側近たち (ちくま新書)

ヒトラーの側近たち (ちくま新書)

『ヒトラーの側近たち』大澤武男(ちくま新書932)読了。wikipedia回れば済むような内容だけど、いくつか発見もあった。ヒトラーは政権掌握時43歳、閣僚も30代が一番多かったと。「戦う前提が整っていない無意味な戦いは止め、部下の命を守るという軍人精神を持ち合わせていないヒトラーの狂気の戦闘意識」144pって、そんなの旧日本軍では普通じゃん。旧日本軍指導部のオツムは皆、一兵卒出身のヒトラー並だった?
 
2011年12月08日(木)
和辻哲郎仏教哲学読本 1

和辻哲郎仏教哲学読本 1

和辻哲郎仏教哲学読本 2

和辻哲郎仏教哲学読本 2

和辻哲郎仏教哲学読本』I,II、ざっと読んだけど、あまりヒントになりそうな論点が見つからなかった……。
 
2011年12月11日(日)
働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

長谷川英祐『働かないアリに意義がある』メディアファクトリー新書、読了。社会性昆虫の研究成果を分かりやすく。
 
2011年12月19日(月)
CARTA 2012年新春号 2012年 01月号 [雑誌]

CARTA 2012年新春号 2012年 01月号 [雑誌]

『CARTA』2012年新春号特集「古事記」、別冊付録は書版・阿刀田高『私の古事記物語』。日本神話ダイジェスト藤原カムイの描き下ろしイラストがなかなかよいです。
 
映画秘宝EX 映画の必修科目02 激辛韓流映画100 (洋泉社MOOK)

映画秘宝EX 映画の必修科目02 激辛韓流映画100 (洋泉社MOOK)

映画秘宝EX 映画の必修科目02 激辛韓流映画100』読了。満腹&満足。こういう読みでのあるムックって減ったよなぁ。しばらく引きこもって片っ端から観たい映画ばかり。
 
映画秘宝EX 映画の必修科目01 仰天カルト・ムービー100

映画秘宝EX 映画の必修科目01 仰天カルト・ムービー100

映画秘宝EX 映画の必修科目01 仰天カルト・ムービー100』こちらも。秘宝系にしては「お手柔らか」な選び方だけど、読んで楽しいムックだった。
 
2011年12月21日(水)
宮崎哲弥 仏教教理問答

宮崎哲弥 仏教教理問答

『仏教教理問答』(サンガ)あとがきを読む。宮崎哲弥氏の輪廻否定(断滅論)への拘りは、ちょっと理解に苦しむところ。「私」を構成している五蘊は幻、無常・苦・無我、ひいては空なるもの。それと同じく輪廻も、ひいては空なるもの。それだけの話では。なぜムキになって再有を否定するのだろうか?
 
断滅論はブッダが否定する邪説。輪廻とその克服は仏説。輪廻を「無いこと」にすれば、そもそも修行の必要は無くなるが、そんなご都合主義のためにブッダが出現する必要はないでしょう。
 
もちろん、宮崎哲弥氏は自説を「断滅論ではない」と仰ると思うが、輪廻否定の理屈の組み立て方が、皆目わからない。仏教は輪廻に価値を入れないにしても、輪廻を否定しない。身体に価値を入れないことと、身体を否定することは全然違う。後者は出離に役立たない邪説。
 
2011年12月22日(木)
https://t.co/18RXx08t 宮崎哲弥氏の『仏教教理問答』あとがきの件、あの文章は輪廻批判であって、「現象としての輪廻」を否定したものではないという指摘をいただいた。対立点はないはずだと。も一度よく読んでみます。
 
宮崎哲弥氏の『仏教教理問答』あとがきを再読。論点は輪廻否定か輪廻批判かではなく、「覚りの立場で輪廻を語ることの是非」になるのだろうか。仏教者が凡夫に対して、輪廻を前提に止悪作善を説くよりも、ダイレクトに「輪廻も畢竟空」と説くべきということか。
 
そこで、輪廻を「畢竟空」と知ったところで、実際に輪廻(苦)を脱するには十結を断じなければならないから、輪廻の構造から順に説かないと…となるのは初期仏教の行き方。大乗では空と知った上で煩悩を絶たず輪廻に留まり活動するから、煩悩論はあまり関係ないのだろうか。
 
と疑問が深まったところもあるが、とまれ宮崎哲弥氏の立場を「輪廻否定」ひいては「断滅論」としたのは当方の誤読だと分かった。 https://t.co/yW7ag9Ei の批判は撤回するとともに、宮崎哲弥氏にお詫びしたいと思います。
 
〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜