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読了メモ(2011年12月23日〜2012年1月31日)

いつの間にか「はてなブログ」とゆーサービスが始まった。はてなダイアリープラスからそのまま移行できればいいけど、料金プランを見る限りそうもいかなそうだ。以下、年末年始の読了本のメモです。
 
2011年12月23日(金)

ヤクザと原発 福島第一潜入記

ヤクザと原発 福島第一潜入記

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋、読了。暴力団専門ライターが原発とやくざの深い関係を探り、自ら作業員としてフクイチに潜入したルポルタージュ。年末にすごい本を読んだ。
 
原発が田舎に建設されるのは、事故の被害拡大防止だけが目的ではない。「地縁・血縁でがっちりと結ばれた村社会なら、情報を隠蔽するのが容易である。建設場所は、村八分が効力を発揮する田舎でなければならない」226p)
 
中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

与那覇潤『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』文藝春秋、読了。挑発的な書名だが、日本史を宋朝期の中国から始ったアーリーモダン世界秩序の浸潤とそれに抵抗する反グローバル勢力の確執として捉えた通史。高校レベルの教科書にはまだ載っていないという、歴史学の最新知見に目から鱗。
 
‎(江戸時代の日本は)次男以下を見殺しにする国?「江戸や大阪は太平洋戦争以上の死亡率を誇る職場だった。」「姨捨て山は偽の江戸、孫捨て都市が真の江戸」とな!
 
「徳川日本の身分制は「地位の一貫性が低い身分制」という、世界史的に見てユニークな形態」この辺はツボにはまった。その逆が地位の一貫性が高く勝者総取りの宋朝起源グローバルスタンダードと。
 
現代の新自由主義体制は、サッチャーの英国、レーガンの米国、蠟小平の中国で、ほぼ同時に始まったものだとか。ふむむ。近代以降は欧米の動向含めて、ぜんぶ「中国化」と「再江戸化」で説明しちゃう確信犯的悪乗りも可笑しい。
 
なぜ人権無視の中国が超大国に?は間違った問い。正しくはなぜ遅れた野蛮な地域ヨーロッパに法の支配・基本的人権・議会せ民主主義があるのか? それは「人権は封建遺制である」からと。そいえば、古代インドのヴァッジ国や釈迦国の「民主制」も、部族国家遺制だった。
 
日本ってのは結局、唐代に大陸から移植された封建制のエートスを守り続けてきたってことなのかね? 仏教が唐代のフォーマット残したままずっと盛んだったのも特殊っちゃぁ特殊だし。いまでも伝統仏教は明らかに「再江戸化」勢力だもんね。
 
年表・索引がしっかりしてるのと、主要参考文献&言及映画リストが充実しているので、片っ端から読んだり観たりしたくなってくる。高校の歴史しか知らん学生に一泡吹かせたる!って調子ながら面倒見のよい先生っぽさも滲んでいる。
 
日本史学では信長VS本願寺の石山戦争を戦国時代でもっとも重要な合戦と見ている。川中島も単なる食料の分捕り合い。"石山線戦争だけは「日本がいかなる原理にもとづいて近世社会を再建していくか」をめぐる争いだっったから"(p81)と。これは確かにそうだよね。
 
『中国化する日本」の見出しで、日中戦争の泥沼に嵌った日本の状況を「将棋と間違えて囲碁を打つ」と書いてあって、うまい事言うものだと思った。ドゥルーズ=ガタリまで引っ張ってきてこの軽妙さは素晴らしい。
 
また、大東亜戦争の「アジア解放」というスローガンは、まったく大義のない日中戦争に鬱々としていた国民にスッキリ爽快な気分を(一瞬)もたらした、という事が書いてあった。
 
(……と本は面白く読んでも、その著者がTwitter反原発派を嘲笑してるのを読むと、改めてブログで紹介する気は失せてしまったり。著者と読者の距離が近いってのも、良し悪しだね。紹介したけど。)
 
2012年01月04日(水)
荘子―古代中国の実存主義 (中公新書 (36))

荘子―古代中国の実存主義 (中公新書 (36))

福永光司荘子 古代中国の実存主義中公新書、読了。あとがきに出てくる著者の母君の逸話がすごい。
 
2012年01月05日(木)
仏教、本当の教え - インド、中国、日本の理解と誤解 (中公新書)

仏教、本当の教え - インド、中国、日本の理解と誤解 (中公新書)

植木雅俊『仏教、本当の教え インド、中国、日本の理解と誤解』中公新書、読了。法華経維摩経の新訳を上梓した理系出身の研究者による、仏教を軸にした比較文化論。著者の師匠である中村元博士の偉大さを追体験できるような良著。
 
2012年01月06日(金)  
荘子 内篇 (講談社学術文庫)

荘子 内篇 (講談社学術文庫)

福永光司・訳注 『荘子 内篇』講談社学術文庫、解説だけ読了。福永節に導かれて荘子読むと、我々が知ってる大乗仏教と余りに似通った教えであることに驚かされる。それは我々が未だに格義仏教の引力圏に留まっているということなのか、日本人が荘子を読む場合には自動的に仏教フィルターがかかる故なのか、その両方なのか。
 
2012年01月07日(土)
イエスの言葉 ケセン語訳 (文春新書)

イエスの言葉 ケセン語訳 (文春新書)

山浦玄嗣『イエスの言葉 ケセン語訳』文春新書、読了。ギリシャ語から岩手気仙地方の言葉に直接訳された福音書から見えてくる泥臭いイエスの姿。従来の聖書翻訳への批判も辛辣。いかがわしさ含めてイエスが魅力的な人物だとよく分かるけど、…別に「神」はいらないよね。
 
2012年01月10日(火)
原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

安富歩『原発危機と「東大話法」 傍観者の論理・欺瞞言語』明石書店、一気に読んだ。すごかった。「「命」は記述できなくとも、「命を破壊するもの」は記述できる範囲に入っている」12p云々と「合理的な神秘主義」に触れたくだりから鷲掴みにされた。続編もあるそうで楽しみ。※読書メモ、こちらにも書いた。
 
2012年01月16日(月)
尼さんはつらいよ (新潮新書)

尼さんはつらいよ (新潮新書)

勝本華蓮『尼さんはつらいよ』新潮新書、読了。自らの反省を踏まえた、かなり生々しい伝統仏教内幕ばらし。読み応えあるが少々ゲンナリする。結論は犀角独歩ということです……。(上座仏教の修道論まとめ方がいい加減だし、有名長老云々は当てこすりっぽいと思いました(調べもしないで)。スリランカの瞑想道場での体験も、佼成出版社の前著asin:4333023807と併せて読むと「なんだかなぁ」と。)
 
2012年01月26日(木)
怒れ! 憤れ!

怒れ! 憤れ!

ステファン・エセル『怒れ!憤れ!』日経BP、読了。レジスタンス出身のフランス外交官のおじいちゃんが若者に向けてアジった演説。大川隆法もびっくりの大活字だが、カバー取り外すと新聞みたくなる装丁はおしゃれ。複雑な世だけど人権踏みにじる連中に怒れ!でも非暴力主義で行こうと言ってます。こういうの読むと、煩いジジイっちゅうと石原慎太郎みたいなのしか出てこないお仕着せ民主主義の敗戦国日本と、レジスタンスで自由勝ち取ったフランスとの違いというか、それこそステレオタイプな羨ましさを感じてしまうね。
 
(「悲しいかな、自らの歴史から教訓を引き出すことのできた民族の例は、歴史上ほとんどない。」ステファン・エセル)
 
2012年01月27日(金) 安冨歩『生きるための経済学―“選択の自由”からの脱却』NHKブックス、読了。「(市場経済学は)多くの仮定が、物理学の諸原理に反している、という意味で、非現実的なのである。」p23 「日本語の責任は「立場」から生じるのであり、「選択」から生じるのではない。」71p 知らんかった……「計算量爆発と非線形性という二つの問題は、「選択の自由」という概念を無意味化する。」73p 東大話法でもチラと触れていたけど、挑戦的な語り口でワクワクする。経済学は門外漢で別に興味もなかったが、本書を読んで、現代経済学の思想的背景を「知らない」事でかえってその強い影響・呪縛に嵌っていたかもと反省。著者の勇気に感謝。
 
生きる技法

生きる技法

安冨歩『生きる技法』青灯社、読了。哲学研究ではなくて、「哲学する」というのはこういう事だろう。離婚や母親との関係を綴ったくだりはチラ読みした時にドン引きしてしまったが……。終章で親鸞を引いて「自力」「他力」 の面白い説明をしている。
 
2012年01月28日(土)
しあわせの開発学ーーエンゲージド・ブディズム入門

しあわせの開発学ーーエンゲージド・ブディズム入門

  • 作者: スラック・シワラック,辻信一,宇野真介
  • 出版社/メーカー: ゆっくり堂
  • 発売日: 2011/07/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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スラック・シワラック『しあわせの開発学ーーエンゲージド・ブディズム入門』読了。プッタタート師の戦闘的弟子。高貴なアジテーションにしびれるわ!比丘に「びきゅう」とルビ振ってるのはずっこけたが、内容は素晴らしい。中村尚志氏の特別寄稿「わが友スラックーその思想と行動」も勉強になる。シワラック師と鶴見良行の交流に触れたくだりなどグッと来た。
 
2012年01月31日(火)
アイアムアヒーロー 8 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 8 (ビッグコミックス)

花沢健吾アイアムアヒーロー』8 (ビッグ コミックス) 読了。ショッピングモールの攻防が終わった……。
 
〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜