読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

安冨歩 『原発危機と「東大話法」』を読んだ

本の話題

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

 
正月明けに読んで気鬱が晴れた一冊。激しくオススメしたい。
 
(以下、1月9日〜10日にかけて読みながらのツイート ※は補足)
 
安冨歩原発危機と「東大話法」 傍観者の論理・欺瞞の言語』明石書店、読んでる。これはスゴイ迫力の本だ。止まらない。
  
著者曰く「東大文化」とは、
 

  • 徹底的に不誠実で自己中心的でありながら、
  • 抜群のバランス感覚で人々の好印象を維持し、
  • 高度情報処理能力で不誠実さを隠蔽する、

 
虐殺器官」ならぬ「扼殺器官」として日本を滅ぼす東大話法の使い手はまさにショッカー! (著者はまじめに「東大=ショッカー」仮説を提唱。)
 

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

(※伊藤計劃が本書を読んだらどう評しただろうか……)
 
原子力の専門家とは、「欺瞞言語(原子力業界の安全欺瞞言語)で脳の思考力を破壊していって、頭がぼんやりしてきて、「格納容器が壊れるなんて思えなく」なればなるほど、立派な「専門家」になる」66p
 
(これが誇張ではない、ひどい実例が挙げられていく。東大話法の項目はページが進むにつれ増える。第三章 「東大文化」と「東大話法」にて、原発事故後に東大工学部が出した欺瞞文書を分析するなかでまず次の8つが示される。
 

  1. 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
  2. 自分の都合のよいように相手の話を解釈する。
  3. 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
  4. 都合のよいことがない場合には、関係ない話をしてお茶を濁す。
  5. どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
  6. 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
  7. その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
  8. 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。)

 
「傍観者というのは、事態に主体的に関わらないばかりではなく、主体的に関わっている人々を外部から眺めつつ、何ら感情を動かさない人物のことを言います。そのかわりに彼等は、主体的に関わっている人々を観察して分類したりして、解説する」138p
 
(※原子力政策に大きな権限を持つポストにいる御用学者が、完全に傍観者を決め込み、まったく責任意識を持たない。これが東大話法を支える学者の重要なメンタリティの一つとされる。)
 
東大話法規則20 「もし○○○であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。……自分が謝罪すべき当事者であるというのに、傍観者に成りすましている、という語り口」189p
 
(※東大話法の例として池田信夫氏が槍玉に上がっているが、20は香山リカ氏も使っている。)
 
「東大話法のような欺瞞言語は、強い自己増殖性を持っています。誰かに東大話法を使われて、搾取されてしまうと、今度は、搾取された側が東大話法モドキを使って、他人を搾取してしまうのです。」p190
 
自他を守るため東大話法の知識は必須!
 
第四章 「役」と「立場」の日本社会、切れ味鋭いなぁ。誰かに「立場」を与えるために「役」が捏造されて、必要性の薄い「仕事」の意義が強弁される……そのために最適化された言語技術が東大話法なんだろうが、日本社会のどこでも見られる病理だ。
 
「原子力御用学者の「役」は、「我が国は」で始まる無意味な論文を書き、政府の審議会に出て国策に太鼓判を押し、…研究費をもらって…研究を行なっているフリをして、こういった「役の体系」こそが正しい…(と学生達を)洗脳すること」226p
 
第五章 不条理から解き放たれるために 「原発に反対する人がオカルトに惹かれる理由」について分析。「原子力とオカルトとは共に、熱力学第二法則を乗り越えようとする幻想という点で同じ論理構造を持っている」と喝破。槌田敦氏の思想で締める。
 
安冨歩原発危機と「東大話法」 傍観者の論理・欺瞞の言語』明石書店、一気に読んだ。すごかった。「「命」は記述できなくとも、「命を破壊するもの」は記述できる範囲に入っている」12p云々と「合理的な神秘主義」に触れたくだりから鷲掴みにされた。続編もあるそうで楽しみ。
 
目次
はじめに
東大話法一覧
第一章 事実からの逃走
第二章 香山リカ氏の「小出現象」論
第三章 「東大文化」と「東大話法」
第四章 「役」と「立場」の日本社会
第五章 不条理から解き放たれるために
あとがき
 
追記:著者の安冨歩さん、真宗大谷派の本多雅人師と対談本も出版されている。

今を生きる親鸞

今を生きる親鸞

 
実は真宗系の重鎮のご子息なんて話も聞いたがご自身のブログでマイケル・ジャクソン賞賛してるあたり坊さんっぽいなぁ(お坊さんはなぜかブラック・ミュージック好きが多い)と思ったりした。もしそうなら、仏教系男子つながりで、マイケル・ジャクソン本を西寺郷太さんと共著で出せばいいのに。そういう方面の展開も期待してます。
 
〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜