もんじゅ「名付け親」永平寺の脱原発

シンポジウム:「原発は仏の教えに背く」 永平寺「ふげん」など命名懺悔−−来月2日
 曹洞宗大本山永平寺福井県永平寺町)は11月2日、原発の是非を問うシンポジウム「いのちを慈しむ〜原発を選ばないという生き方」を開催する。同県敦賀市の新型転換炉「ふげん」(廃炉作業中)などの命名にも関わったとされている寺が、初めて企画した。福島第1原発事故を踏まえて、事故が起きれば子孫にまで影響が及ぶ原発は仏教の教えに相反するとし、これまでの認識不足への反省を込めている。【山衛守剛】*1

曹洞宗大本山永平寺 布教部長の西田正法師が脱原発シンポジウムを企画し、「もんじゅ」「ふげん」の命名に永平寺が関与したことを懺悔したというニュース、TwitterのTLやブログ検索で見た限り、曹洞宗のお坊さん概ねスルーの印象だ。山内・宗内でも色々あるのだろうか。
 
もんじゅ」「ふげん」の命名に永平寺が関与した…ということは、老師とか禅師とか呼ばれる歴代の重鎮が関与しているわけで言及しづらいだろうな。
 
歴史的にみれば、冷戦構造の下では日本の伝統仏教は「全日本仏教会」を通じ自民党政権を支え、反核・反原発を唱える社会党共産党ら革新勢力と敵対してきた。(勿論、個々の僧侶については反原発運動に関わる方もいた。)
 
冷戦時代、伝統仏教が全体として自民党政権を支持していたことは、それ自体、非難されるべきと思わない。
 
なぜなら、社会主義・共産主義勢力が結んでいたソ連や中国(と中国が占拠するチベット)、モンゴル、北朝鮮、ベトナムやカンボジア等では、程度の差はあれ寺院の破壊や僧侶の強制還俗・殺害といった形で仏教が徹底的に弾圧され、「法滅」の危機に晒されていたからだ。
 
だから伝統仏教が反共の一点で集結した保守連合たる自民党政権支持の一翼を担った選択は間違いとは言い難い。
 
しかし左右のイデオロギーによる保革対立の構図は措いて、仏教界が原子力発電所や核燃サイクルのような科学技術万能思想の権化を批判する視座を持ち得ず、命名への関与という形でお墨付きを与えてしまったことについては、やはり内面的に「懺悔・反省」すべきではないか。
 
というわけで私は、曹洞宗大本山永平寺 布教部長の西田正法師が、過去の原発との関わりを踏まえて述べた「懺悔」の言葉に敬意を表し、随喜するものであります。
 
〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜

追伸:日本の伝統仏教宗派としては、2011(平成23)年9月29日に臨済宗妙心寺派「宣言(原子力発電に依存しない社会の実現)」を表明している。

*1:毎日新聞 2011年10月14日 大阪朝刊