311後の「読了」本/一遍上人語録

はてなダイアリープラスを更新したので、参考までに311後の読了本を挙げてみます。6月までほとんど一冊通読するということができなかった。例外は仏典、とりわけ『一遍上人語録』だった。
 

FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書)

FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書)

広瀬隆『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』朝日新書、読了。ロスチャイルド云々は知らんけど、原発に関しては彼が警鐘を鳴らして来たとおりになった。預言者を無視した「やましさ」が疼いて重い読後感。原子力「犯罪者」達は地獄の一丁目でまだ意気盛ん。御用学者を徹底告発するという集英社新書が気になる。(06月04日)
 
西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)

西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)

加藤徹先生の『西太后清帝国最後の光芒』中公新書。311の前に購入してずっと読めずにいた本、311から三ヶ月目にようやく読了。西太后が君臨した清末の中国は現代中国の「予告編」とする。我々がイメージする中国の「伝統文化」が完成したのも西太后の時代と。次は『京劇』も読んでみよっと。(6月11日)
 
原発のウソ (扶桑社新書)

原発のウソ (扶桑社新書)

小出裕章『原発のウソ』扶桑社新書、読了。福島原発の事故処理は進むも地獄退くも地獄。核燃料サイクルの強行は狂気の沙汰。日本は技術面では「原子力後進国」。電力不足は詐欺であり原発は即時停止も可能。しかし無間地獄の如き核廃棄物管理は続く。原発の不義と「未来搾取」を静かに告発。必読。(6月13日)
 
東京電力の大罪 2011年 7/27号 [雑誌]

東京電力の大罪 2011年 7/27号 [雑誌]

文藝春秋臨時増刊7/27号『東京電力の大罪』読了。「文春図書館スペシャル 苦難を乗り越える一冊を!」で瀬戸内寂聴師が『一遍上人語録』(岩波文庫)をあげていた。あ、僕と同じだ。(6月14日)
 
一遍上人語録 (岩波文庫 青 321-1)

一遍上人語録 (岩波文庫 青 321-1)

一遍上人語録 (名著/古典籍文庫―岩波文庫復刻版)

一遍上人語録 (名著/古典籍文庫―岩波文庫復刻版)

初期仏教厨の僕だが、十代から無数に読み返してる座右の古典は『一遍上人語録 付 播州法語集』大橋俊雄校注(岩波文庫)。短いのですぐ通読できるが、疑問も残る。でも二十数年読み続けて、少しずつ分かったこともある。最期は本書を火にくべて「一代聖教皆尽て…」と死ねる境地になりたいものだ。(4月11日)
 

みな人のことありがほにおもひなす
こころはおくもなかりけるもの
 
さけばさきちればおのれとちるはなの
ことわりにこそみはなりにけり
 
はながいろ月がひかりとながむれば
こゝろはものをおもはざりけり
 
須弥のみねたかしひきしの雲きへて
月のひかりやそらのつちくれ
 
世の中をすつる我が身も夢なれば
たれをかすてぬ人と見るべき
 
一遍上人和歌抜き書き

震災後、まったく本が読めなかったのでリハビリ代わりに柳宗悦『南無阿弥陀仏』を必死に再読したのだが、思いのほかつまらなかった。でも、一緒に鞄に入れといた『一遍上人語録』は釘付けになって読みふけってしまった。高校時代から何度となく読み返しているが、非常時の仏教という迫力を再発見した。
 
自分にとっての「古典」を一冊だけ上げるなら、『一遍上人語録』になるのだと、このたびの東日本大震災でよく分かった。(5月5日)
 
〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜