野中耕一先生の紹介記事が『在家佛教』に

在家仏教 2009年 05月号 [雑誌]

在家仏教 2009年 05月号 [雑誌]

在家仏教協会の月刊誌『在家佛教』2009年5月号に、野中耕一先生の紹介記事が掲載されています。

仏教ボランティアの現場から 大菅俊幸(シャンティ国際ボランティア会 SVA)
その13 善友をもつには、自らも善友に ―テーラワーダ仏教と野中耕一さん―

アジア地域研究のフィールドワークの現場からタイ仏教の世界に足を踏み入れ、現代タイ仏教の最高の知性ともいうべきポー・オー・パユットー師の著作を日本語訳するに至った野中耕一先生のこれまでの歩みが、野中先生と親交の深い大菅師によって、あたたかな筆致で綴られている。そういえば、以前、ゴータミー精舎でもお伺いしたことのある、こんな印象的なエピソードも紹介されている。

(野中先生がタイで運転免許の試験を受けた時のこと)

「タイの警察で一通り試験を受けた後、面接試験になったのですが、待合室で緊張して待っている時、部屋の壁にいくつかの標語が貼り付けてあるのが目に入りました。その中の一つに“不注意は死への道”というのがあったんです。それが何となく心に残っていたんでしょうね。いよいよ面接となって、いくつかの質問があった時、試験管に、運転で大事なのは、“不注意は死への道”と答えたのです。そうしたら、試験管は目を向いて、“よろしい、合格”と言ったのです。えっ?と思いましたが、その標語が『ダンマパダ』の有名な一節であることを知ったのはずっと後のことでした」

これは、ダンマパダ(Dhammapada,法句経)21偈、

Appamādo amatapadaṃ, pamādo maccuno padaṃ;
Appamattā na mīyanti, ye pamattā yathā matā.


不放逸は不死の道にして、放逸は死の道なり。
不放逸の人は死せず、放逸の人は死せるに異らず。*1

から取られた言葉だろう。さすが仏教国!他にも素敵なエピソードがたくさん載っているので、ぜひご一読いただきたい。以下、野中先生訳のパユットー師著作集。

仏法の思考と実践―テーラワーダ仏教と社会

仏法の思考と実践―テーラワーダ仏教と社会

『仏法の思考と実践―テーラワーダ仏教と社会』野中先生によるパユットー師の最新訳書。現代タイ仏教徒に向けて「仏教徒の心得」を説いた講演録、そして「如理作意(yoniso manasikāra)」正見確立についての超精密な論考をカップリングした作品。ハードルは高いが腰が抜けるような読後感。

仏法―テーラワーダ仏教の叡智

仏法―テーラワーダ仏教の叡智

『仏法―テーラワーダ仏教の叡智』パユットー師の代表作。現代テーラワーダ仏教教学の最高峰。師の最新研究を盛り込んだタイ語からの訳業。英語版よりもずっと詳しい!

テーラワーダ仏教の実践―ブッダの教える自己開発

テーラワーダ仏教の実践―ブッダの教える自己開発

テーラワーダ仏教の実践―ブッダの教える自己開発』いわゆるエンゲージド・ブッディズムの理論的支柱となった講演録。仏教の社会参画について論じる上での必読書。


↓参加ブログの皆さんが幸せでありますように……↓
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ

〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜

*1:辻直四郎・訳 南伝大蔵経23巻20p