amazon.co.jpの良レビュー

ブックファースト新宿店(コクーン地下)の人文書レジ脇の島(歴史本コーナー)に拙著『大アジア思想活劇』がポップ付で平積みされていた。ありがたや。

amazon.co,jpには、トップ100レビュアーのソコツさんの長文レビューが載っていた。こちらもありがたや。

大アジア思想活劇―仏教が結んだ、もうひとつの近代史

大アジア思想活劇―仏教が結んだ、もうひとつの近代史

アジアがつくった近代仏教, 2008/12/4
By ソコツ

主に日本およびスリランカにおける「近代仏教」の形成過程を、広大なアジア世界を舞台として展開した様々な人的・思想的交流を通して鮮やかに描写する、スーパー力作評論である。近代仏教論では、西洋の学術・思想からの影響や、廃仏毀釈を間に挟んだ近世仏教からの移行に着目する議論がほとんどであったので、本書のような試みは極めて斬新かつ刺激的でおもしろい。
1873年のスリランカにおける著名な仏教vsキリスト教問答(「パーナドゥーラ論争」)を大きな契機として、「神智学」の宣教者、オルコット大佐+ブラヴァツキー婦人が東洋の神秘哲学たる「仏教」の素晴らしさに開眼する。この西洋人による「仏教」の再評価の動きは、一方では日本における仏教リバイバル運動を後押しし、他方ではダルマパーラによるスリランカの仏教ナショナリズム運動の勃興へとつながっていく。しかも、この二方向の運動は、「仏教」をともに奉じる傑物たちのしばしば誤解をともなう相互交渉により、互いを育てあってきたのであった。
軸となるのは、野口復堂という異能の講談師(その魅力は本書において初めて鮮明になった)の南アジアにおける大活躍、復堂にも感化されるかたちで日本に新しい「仏教」の旋風を巻き起こしにやってきたオルコット、そしてダルマパーラが「ランカーの獅子」としての自己形成を遂げやがて闘う仏教者となっていく様子、特に彼の日本とその仏教に対する過剰なまでの思い入れの実情、の三つである。
これに平井金三、釈興然、河口慧海鈴木大拙田中智学をはじめとする近代日本仏教史のキーパーソンの歩みが絡み合い、また所々で歴史や宗教に関する著者の脱線的だが興味深いお話が混ざりつつ、本書は独特の近代アジア(日本)史像を構築することに成功している。やや長すぎるので読者を敬遠させてしまう気がするのはもったいないが、これだけ発見に満ちた仏教史の書物はなかなか無いので、以上に挙げてきた人物に関心のある向き、のみならず近代史のお好きな方は是非一読してみることを大推薦する。(amazon.co.jpカスタマーレビュー


MALCOLM X: THE HOUSE NEGRO AND THE FIELD NEGRO

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