「極楽寺殿御消息」書写完了

鎌倉幕府の連署(執権の補佐)として活躍した北条重時(1198-1261)が出家後に子孫への教訓として記した「極楽寺殿御消息」。今年の五月から少しづつ書写してきたがようやく完了。誤字脱字とかあるかもしれないが、いちおうネット上に全文が載ったのは初めてだと思うから、利用するといいぜ。

注釈を()内に入れたり、不味い訳文を添えたりしているところもあるが基本は原文のみ。書写した本人も「まぁ、大体わかる」程度だが、これは日本人の個のあり方のモデルを素直な言葉で表現した、忘れてはならない貴重な文献だと思う。さっき写していて感動したのは以下のくだり。

一、いかにも人(の)ため世のためよからんとおもひ給ふべし。行すへのためと申也。しろき鳥の子はその色しろし。くろきはその子もくろし。たでといふ草からくして、そのすへをつぐ也。あまき物のたねはおとろふれどそのあぢあまし。されば人のためよからんと思はゞ、すへの世かならずよかるべし。我が身を思ふばかりにあらず。(096

意訳:何事も他人や社会のためになるようにと思ってすることだ。それが行く末(未来)のためになるのだ。白い鳥の子は白い色に生れ、黒い鳥の子は黒い色に生まれる。辛い味がする蓼という草は、年月がたっても辛い草として生える。甘い植物の種からできる実は出来が悪くても甘い味がするものだ。そんなわけで、人のためになるように思って働けば、末の世(未来)は必ず良くなるだろう。自分の行いは自分だけで完結しない。それは未来の人々の幸福にも繋がっているのだ。

現代語を付けて新書本にできたらいいなぁと思ってるんだけど、どこか出すところないだろうか。