中外日報に末木文美士先生の書評掲載
スマナサーラ長老の初期仏教月例講演会『ブッダの侍者の「8大特典」と「4つの不思議」−「善友」阿難尊者の「如是我聞」』司会とプロジェクタ助手をしつつ聴講。アーナンダ尊者にまつわる深いお話。社会で仕事をするにあたっての心構えについて語られた冒頭の法話を聞いて、心が軽くなった人も多いのではないか。また、大般涅槃経を読んで、誰もがわだかまりを感じたであろうエピソードについても詳しい解説があった。詳細は後日アップされるであろうhohiさんのレポートに譲ります。
- 作者: 佐藤哲朗
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: 単行本
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仏教系の業界紙『中外日報』(中外日報社)11月27日号「中外図書室」に拙著『大アジア思想活劇』の書評が掲載された。評者は東京大学教授の末木文美士先生。
『大アジア思想活劇 仏教が結んだもうひとつの近代史』佐藤哲朗著
近代思想史研究のミッシングリンク
根底に位置する仏教
巧みな「教談」で一世風靡の野口復堂通し活劇風に描く
(前略)日本の近代仏教の研究は、先駆的ないくつかの成果を除けば、ごく最近ようやく本格的に手が付けられるようになったばかりである。それも教団内やアカデミズムのでの研究は、ともすればいわゆる「近代的」な明るい側面か、または国家主義・軍国主義との結びつきの暗い側面が、ステレオタイプ化して取り上げられがちである。
だが、それでは本当の近代の姿は隠れてしまう。もっとどろどろとした複雑な要因が絡み合い、一見非合理で奇怪な思想が大きな運動に結実していく。それが表面のきれい事の背後で、深い次元で近代を動かしているのである。
一般の日本近代思想史でも、近年になって初めて超古代史や超心理学などの異端の世界に光が当てられるようになり、また、中島岳志の研究などによって南アジア世界との関係の重要性が認識されるようになっている。しかし、それらの諸動向はばらばらのものではなく、もっと統合的に捉えられなければならない。
あえて言えば、そのミッシングリンクとも言うべき根底に位置するのが仏教ではなかったか。私は以前からそのような予測を持っていたが、本書はそれを確信させてくれるだけの豊富な内容に満ちている。その情報量だけでも膨大なものがあり、それらが前後錯綜しながら、あたかも曼荼羅のように展開していく。(後略)
書写して目頭が熱くなってきた。
僕がアジ活をまとめようと思ったきっかけのひとつは、末木先生の『日本仏教史―思想史としてのアプローチ』(新潮文庫)との出会いだった。同書ではあえて触れられていなかった近代仏教思想について、何かしら自分の調べたことが何か寄与できるのではないかという、身の程知らずの思いがあったのだ。
- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/09/02
- メディア: 文庫
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末木先生はその後、『近代日本の思想・再考』(トランスビュー)二部作で日本近代仏教史・近代仏教思想史研究の新たな扉を開けたが、アジ活が出版できたことも、末木先生が牽引するささやかだが確実な「近代仏教研究ブーム」の余慶によると言えるだろう。
- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: トランスビュー
- 発売日: 2004/06/12
- メディア: 単行本
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- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: トランスビュー
- 発売日: 2004/06/12
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そんなわけで何というか、勝手に学恩を感じている先生から書評を賜ったことはとてもうれしい。
このご恩を忘れることなく、これからも精進していきたいと思う。
ちなみに同書評が掲載された『中外日報』11月27日号の社説も、なにげに末木先生の文章と呼応しているような……
時代の流れを巨視的に見れば、確かにアジアは仏教においても、地域の伝統・個性は保ちつつ、ひそかに一体化しつつあると言ってよいのではないか。そして、こうした動きの中で平和への熱い呼び掛け、人権侵害への抗議など積極的な協力が少しずつ輪を広げて展開されてゆくとすれば、たとえ一つ一つのアピールは弱いように見えても、やがてそれは人類社会の全体を動かす力ともなり得るだろう――そう期待したいのである。
〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜