ビジネスリーダーの人間力


18:30より、山城経営研究所のKAE実践経営大学「ビジネスリーダーの人間力〜逆境をはね返すブッダの智慧〜」にスマナサーラ長老が出講。南北線東大前2番出口からすぐの文教学院大学にて。企業の中堅管理職の方々が130名ほど参加された。後ろからみると、Yシャツの白一色でいつもの講演会とは違った雰囲気で面白かった。資料作成がギリギリになってしまいパワーポイントの映写はなしだったが、約90分の講義もさることながら、30分の質疑応答でも参加者が「実業」の人だけあって、意識の高い質問がめだったように思う。

ブッダにより説かれた「管理者に必要な性格」として、部下が必要としているものを与えること(布施)、言語によるプレゼンテーション能力を高めること(愛語)、部下の能力が上がるように人格者になれるよう有意義な手助けをすること(利行)、上司・部下という立場の違いはあっても人間として対等・平等だという意識を徹底すること(同事)、という「四摂事」を解説。

次に、企業が欲と怒りで「儲ける(利潤を上げる)」ことを追及するあまり、企業の存続すら危うくなってしまうことをリーマン・ブラザーズの例を引いて指摘。個人の幸福や家庭・社会の幸福を度外視して、仕事のためにすべてを犠牲にするメンタリティ、仕事や会社を宗教の如く自己目的化することは、「無知」の極みであると警鐘を鳴らす。客観性のない貪瞋痴(欲・怒り・無知)の感情で会社の管理がされることで、社会システムまでが変調をきたすのだと。

三番目に、現代人をむしばむ「ストレス」への仏教的な対処法。ストレスとは「怒り」であると診断する。そして「充実感(サントゥッティ)こそ最高の財産」という仏語をストレスへの処方箋として紹介する。そして、仕事は儲けるためにするのではなく、人の役に立つからこそ、「仕事」なのだと定義を切り替える。他人の役に立つことで、喜びを感じた人々から頂く「ご褒美」が自分の収入であり、利益なのだと。宣伝の洪水によって人々の「欲しい(欲)」を刺激して、必要もないものを売りつけるのは「盗み」である。盗人が幸せになれるという法はない。強引に人から奪ったものはすぐになくなる、という業の法則がある。人々の「必要」を満たし、役に立った報酬は、自分の身に付く。「充実感」という最高の財産を与えてくれる。云々。

質問コーナーは、「正しさ」のよりどころとは何か、すぐにできる瞑想実践(慈悲の瞑想)など、見事に講演内容を補足するものになっていた。

〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜