KAZARI/パール真論

二日続けてスマナサーラ長老とパティパダーその他原稿作成&読み合わせ。この時期、仕事するなら夜だね。夜風が心地よいし。サマータイムなんてぬるいこと言ってないで、7〜9月は日本全国で昼夜逆転にすりゃいいのに。光熱費も下がるだろうし仕事の効率もあがるわな。

合間に奥ちゃんとサントリー美術館「KAZARI 日本美の情熱」行ってきた。入り口で縄文土器を前に延々と土器の魅力を語り合う初老の男性二人が素敵だった。展示はバカみたいな変わり兜の数々や、平田一式飾りの八岐大蛇退治などがグッと来たです。展示スペースはそんな広くないが、国立博物館とか行くと情報量が多すぎて吐きそうになるので、ちょうどよかったかも。

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論

ゴーマニズム宣言SPECIALパール真論
作者: 小林 よしのり
出版社: 小学館

ゴー宣パール真論』電車で読む。連載時はしつこく感じたけど、単行本にまとまるとすごいなぁ……。
よしりんが言っているのは、国語力を養って、書いてあることを書いてあるように読み取りましょうとゆーことである。当たり前のことだが、その当たり前が通用しないのが、日本のアカデミズムということらしい。そこには言葉に責任を持つべき「個人」がいない。育っていない。書いてあることを「自分が思うように」「自分が属する世間のコードに合うように」読んで捻じ曲げることに良心の痛みを覚えない人だけが、生き残って偉くなっていく。そういう仕事が賞賛される。しょせん、真理よりも人間関係なんだよね。さみしいね。

それにしても中島岳志くん、この件に関して、完全に「終了」じゃん。
往生際の悪いごまかしはやめて、素直に謝っちゃえばいいのに。

ずっと前、彼の『ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景』を書評したら感謝のコメントをくれたことあって、決して印象は悪くなかったんだが、実はその後は一冊も読んでいなかった。なんか「狙いすぎ」の山っ気ばかり感じられてしまって、受け付けなかったんだね。まぁ、結果としてはそれでよかった。

ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景 (中公新書ラクレ)
作者: 中島 岳志
出版社: 中央公論新社

↑これはなかなかの名著だよ。現場にもどって頑張れやーい!(髭男爵風に)

そんでもって、よしりんパール真論』に戻るけど、文中、中島『パール判事』を称賛した知識人の閻魔帳があって、そこには、あわわ……アジ活でお世話になったA先生の名前が入ってるではないか!書評書くってのも、けっこうリスキーだよな。若者の仕事はとりあえず褒めてあげなくちゃっていうのも分かるけど、よく読んでないもの(パール判決書)を読んだふりして「お前、分かってるな。オレも分かってたけど」とゆー素振りの書き方をしてはいけない。でもそれってやってしまいがち。……僕もやったことあるかも。

言論の世界の本来の厳しさを、生涯一マンガ家のよしりんに教えてもらった。
こころに寸分でも「インテリの魂」が宿っている人ならば、すべからく『パール真論』読んで自戒すべし。

それにしても、パール判事、日本人にとってはフランシスコ・ザビエル、隠元隆蒅以来の重要な外国人かもしれないね。
絶対、教科書に載せなければいけないよ。

パール博士「平和の宣言」

パール博士「平和の宣言」

蛇足の思いつきだが、阿部謹也の「世間」論って、結局知識人批判じゃん。こないだ仏教の六重罪の誹謗正法について、「プロの宗教家」への戒めだと私見を述べておいたが、阿部謹也の「世間」もたぶん同じこと。釈尊が批判したのは同業の宗教家だったのと同じように、阿部さんが見ていた「世間」って知識人の世間のことなんだお。それが解らんで「阿部世間論で現代社会を論評する」とか話にならん。理論はまず徹底的に同業者の間で実験してから、社会に応用しろって。でないと迷惑で怖くてかなわんわ。

ちょびっと変更した。

〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜