チベットの法難

ゴータミー精舎に参集されたボランティアの皆さんの手で、パティパダー4月号を発送した。

午後から引き続きアビダンマ4巻の原稿作成。昨日よりは進んだ。アビダンマは「仏説」ではないし、テーラワーダ(上座部)を含めて様々な部派仏教や大乗仏教が生まれた時代の産物である。それだけにテーラワーダ仏教のお坊さんたちが他派との論争のための「鎧」として構築した側面も強い。それを現代的な「実践心理学」として紹介しているスマナサーラ長老の挑戦はほんとうに凄いなぁと思うのだ。ただ編集者として本作りにかかわっていると、幼い頃から叩き込まれたアビダンマの論理、思考パターンが、テーラワーダのお坊さんのものの見方や考え方を深く規定しているのだなぁ、ということが垣間見えて面白い。今日口述した有分心のくだりとかもね。そしてまた、昨日と同じ言葉が浮かんだ。生命は皆「意の中の蛙」なんだなぁ……。


チベット国旗

チベット独立派の若手活動家と、頑迷な中共政府の間で苦悩するダライ・ラマ14世の姿が報道されている。この人は本当に私利私欲というものがないのだ。チベットどころか中華人民共和国全土の元首に相応しいのはダライ・ラマ法王ではないか。日本の天皇陛下のような形で、ダライ・ラマが国民統合の象徴として存在する国に中国がなれば素晴らしいと思う。胡錦濤以下、共産党幹部は過去の悪行を懺悔して、慈悲深いダライ・ラマ法王に倣って仏教に帰依すべきだ。

評論家の宮崎哲弥氏が3月17日、関西ローカルのテレビ番組「ムーブ!」(朝日放送)にて全日本仏教会に対してチベット情勢を仏教徒の「法難」と捉えて中国に毅然と抗議すべしと訴えた。youtubeより。

後半で宮崎氏のコメントが聴ける。

ちなみに全日本仏教会チベット情勢に対するコメントは以下のとおり。

チベット情勢についての声明

 日本の伝統仏教界唯一の連合体である財団法人全日本仏教会および世界仏教徒連盟日本センターを代表し、現今のチベット情勢について、以下の通り表明いたします。
 全日本仏教会は世界仏教徒連盟の唯一の日本センターとして、世界仏教徒連盟に加盟する各センターとは、その所属する国家・地域の政治形態の如何に関わりなく、同じ仏・法・僧の帰依三宝の立場から対等な関係を築いてきました。その立場は今後も変わることはありません。
 ラサ市はチベット仏教の聖地です。今回、そのラサ市をはじめ中国各地において僧侶・市民と治安部隊の衝突により多くの死傷者が出ている深刻な事態に対し、私たち日本の仏教徒は深く憂慮しています。関係者に対しては、暴力に訴えることなく、対話による問題解決の可能性を模索するよう強く求めます。
 なお、私たち日本の仏教徒は今後ともチベット情勢の推移を注視してまいります。

合 掌

二〇〇八年三月十七日
財団法人全日本仏教会
理事長     安原 晃

もう一歩踏み込んで、チベット亡命政府と中国政府の直接対話を全日本仏教会がセッティングするから、双方とも比叡山に来なさい、とか言って見せればかっこよかったのにな。

胡錦濤の来日が予定されている4月〜5月は花祭りとウェーサーカが祝される全仏教徒にとっては特別な月間だ。声高に抗議するばかりが能ではなかろうが、日本の沿道という沿道をチベット旗だらけにして迎えるというのは、一興ではないか。

〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜