葬儀/反哲学入門

東洋印哲の先輩、佐々木正さんの告別式に参列。親鸞会の合宿で一緒に京都観光をしたり、中村元博士の講演会を聴きに行ったり(難聴の彼にノートPCで講演を速記したのだが、途中でバッテリが切れて迷惑をかけた)したのが懐かしい。数年前に何度かメール交換をしたのが最後だった。長く闘病生活を続けながら、稀少難病者支援のボランティア活動にも尽力されていた。父君の喪主挨拶が心にしみて、佐々木さんの人柄をしのばせる清浄な雰囲気の式だった。
久々に甲田烈とも会った。日本トランスパーソナル学会界隈で仕事しているらしい。哲学の入門書も書いているとか。

哲学 (ぶんか社文庫 こ 4-1 ズバリ図解)

哲学 (ぶんか社文庫 こ 4-1 ズバリ図解)

手にとるように哲学がわかる本―「存在」することとは何か? (「手にとるようにわかる」シリーズ)

手にとるように哲学がわかる本―「存在」することとは何か? (「手にとるようにわかる」シリーズ)

夕方から祖母宅へ。先日買った木田元『反哲学入門』を読みながら寝てしまった。

反哲学入門

反哲学入門

編集者による聞き書きを元に加筆している本なので大変読みやすいです。そもそも超自然的な思考様式(形而上学)としての哲学そのものが「欧米人だけの思考法」であり、日本人にわかるわけない。わかろうとしようと努力する必要もない。明治に哲学を輸入した明六社界隈で哲学の意味をある程度理解していたのは福澤諭吉くらい(哲学を語る連中を信用するな!)。日本人にわかるのは「欧米人だけの思考法」の特殊性に気づいてそれを相対化しようと試みたニーチェ以降の「反哲学」だけだし、それでも全然オッケー。云々と斬ってみせるが、木田元御大に言われると説得力ありますな。他にも、ソクラテスプラトンアリストテレスの活動を当時のギリシャ・ポリス社会の動静と絡めて説明するくだりとか、デカルトの設定した「理性」は日本人がうすぼんやりとイメージする「理性」とは何の関係もない神学的な概念であると喝破するとことか、また著者の専門であるハイデッガーのとことん「いやな奴」ぶりを楽しそうに列挙するとことか、聞き書きならではの大胆な語り口が楽しい。この楽しさはインド学の碩学である松山俊太郎の聞き書き集『インドを語る』(白順社)にも通じるものがある。松山氏については、こちらの書評でも紹介したことがある。

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