法句経にも「慈心不殺」

休日出勤。今日はゴータミー精舎にてスマナサーラ長老のヴィパッサナー冥想と法話の会。新刊の校正など。スマナサーラ長老の経典解説本『慈経』(日本テーラワーダ仏教協会 読経&法話CD付)が4刷に。地方小出版流通センターの配本なので地味だけど根強く売れている。自分が長老の本の編集にかかわった最初の本だったので、嬉しさもひとしお。

2007-12-13 の記事「慈心不殺(観無量寿経より)」で浄土経典『観無量寿経』に出てくる「慈心不殺」という言葉について触れたが、Google検索してみると仏教系幼稚園などで理念に掲げているところもあるようだ。とはいえ、我がブログがトップに表示されるくらいだから、それほど熱心に唱えられているわけではないみたい。

この四字熟語『観無量寿経』が初出と思いきや、漢訳『法句経』(ダンマパダ)にも出てくるのだ。

忿怒品法句經第二十五の6番目に、

原文
「常自攝身 慈心不殺
 是生天上 到彼無憂」
読みくだし
「常に自ら身を摂(おさ)め、慈心もて殺さずんば、
 是(これ)れ天上に生じ、彼(かし)こに到りて憂(うれ)い無し。」
意訳
「いつも身を慎んでおり、慈しみの心をもって殺すことなければ、
 その人は天に生まれる。そこに到ると憂うることがない。」

とある。『新国訳大蔵経 法句経』の解説によると、これはもと、慈不殺、為仁不殺、という訳文だったものが後で補正されたらしい。パーリ・ダンマパダの対応句としては、

殺生をせず、常に身を慎んでいる聖者たちは、
不死の境地に赴く。そこに到ると憂うることがない。(Dhp 225)

が挙げられている。

とゆーわけでまぁ、通仏教的な経典である『法句経』にもある言葉なので、浄土系宗派に限らず、すべての仏教徒は大きな声で堂々と、


「慈心不殺」の教えを唱え、実践していきましょう。


新国訳大蔵経 インド撰述部―本縁部〈4〉法句経

新国訳大蔵経 インド撰述部―本縁部〈4〉法句経


追伸:羅漢様の切り絵も素敵な『法句経和讃』がありました。法句経序から訳してあるので、たいへん勉強にもなります。

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