『大法輪』特集にスマナサーラ長老が登場

大法輪閣の月刊誌『大法輪』12月号特集「真理への道ブッダの名句・名言」の巻頭に、スマナサーラ長老が寄稿されています。


ブッダのことばとは
…………アルボムッレ・スマナサーラ/スリランカ上座仏教・長老


オープンチャレンジ宣言

 お釈迦さまはご自分の教えについて、一、序盤も素晴らしい(初善)、二、中盤も素晴らしい(中善)、三、終盤も素晴らしい(後善)と説かれました。初めから終わりまで、欠けることは何もなく、完璧に解き明かされている、という意味です。この教えは有意義である。修辞文辞においても問題はない。欠点が一切ない完全な教えであるとも説かれています。
 ふつうの知識人なら、自分の教えに対してどこまでも謙遜的で、控えめの言葉を使いますから、お釈迦さまの自賛はあまりにも過剰ではないかと思われるでしょう。この世には、神の言葉ゆえに絶対的事実だと言われている文献もありますが、その内容のあらゆる矛盾、間違った概念などは、現代知識人によっていとも簡単に暴かれています。知識がどこまで発展してゆくか解らないこの世では、いま私たちが事実だと思っていることがらも、あっけなく覆されるのです。お釈迦さまさえも、人に自分の意見を発表するときは「これは事実です。真理です」と言わずに「これは事実だと、真理だと、私は思います」と言いなさい、そうすれば真理を守る人になるのだ、とアドヴァイスするのです。他人にそのように説くお釈迦さまが、ご自分の教えに対して、いまだかつて人間が言い及ぶことすらなかった独尊的な修飾語を使っている。どう見てもこの口調は、マズイのです。誰か優れた智慧ある人が、証拠に基づいて、お釈迦さまの説かれた教えが事実ではないと証明したならば、そこでお釈迦さまの教えに終止符が打たれてしまうのです。 ……

という書き出しです。だいたいパティパダーの巻頭法話くらいの長さです。

特集全体の目次は以下の通りです。スマナサーラ長老とご縁の深い東洋大学の森章司先生や横山全雄師、井上ウィマラさんも寄稿されています。読み応えのある内容だと思います。以下に特集目次も引用いたします。

特集 真理への道ブッダの名句・名言

ブッダ・釈尊の言葉は弟子たちによって編纂され、『ダンマパダ』や『スッタニパータ』等の原始仏典となりました。本特集ではそれらの中から心に響く名句・名言を選り抜き、紹介します。

ブッダの言葉とは…………………アルボムッレ・スマナサーラ

【第一部 この世のありさま】
無常と苦しみ 〈世の中は泡沫〉等6句
老いと死 〈何の笑いがあるか〉等4句
欲と迷い 〈犀の角の如く歩め〉等6句
心 〈物事は心に基づき心を主とす〉等2句
善悪の行為 〈業は自分が作る〉等9句
迷える人 〈世の楽は聖者の苦〉等8句

【第二部 まことへの道】
真実を求める 〈安穏なる涅槃〉等2句
精進と信仰 〈人身は受け難い〉等8句
貪りを離れる 〈人里を離れよ〉等6句
怒りを離れる 〈怨みを捨てよ〉等6句
言葉 〈法を語れ、非法を語るな〉等6句
他者 〈他人の過失ほど見やすい〉等8句
自己 〈自分のつとめに専念せよ〉等8句

【第三部 やすらぎの世界】
修行者 〈貪ることなく暮らせ〉等8句
慈悲 〈他を殺すな、殺させるな〉等4句
無我と縁起 〈我に固執するな〉等5句
さとり 〈智慧や光明が生じた〉等2句
真実を説く 〈私は法を説こう〉等2句
やすらぎ 〈勝ち負けを捨てよ〉等8句
とらわれない心 〈こだわるな〉等6句

【第一部〜第三部 執筆者】(五十音順)
井上ウィマラ・岩井昌悟・及川真介・菅沼 晃・服部育郎・羽矢辰夫・古山健一・松田慎也・森 章司・横山全雄

大法輪12月号の目次一覧

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